約 4,393,401 件
https://w.atwiki.jp/keroro00innovator/pages/2730.html
それは小さな光のような それは小さな光のような アーティスト さユり 発売日 2016年2月24日 レーベル アリオラジャパン デイリー最高順位 1位(2016年3月1日) 週間最高順位 2位(2016年3月1日) 月間最高順位 18位(2016年2月) 年間最高順位 128位(2016年) 初動売上 7830 累計売上 14656 収録内容 曲名 タイアップ 視聴 1 それは小さな光のような 僕だけがいない街 ED 2 来世で会おう 3 ふうせん ランキング 週 月日 順位 変動 週/月間枚数 累計枚数 1 3/1 2 新 7830 7830 2016年2月 18 新 7830 7830 2 3/8 15 ↓ 2201 10031 3 3/15 14 ↑ 1296 11327 4 3/22 15 ↓ 931 12258 5 3/29 14 ↑ 781 13039 6 4/5 ↓ 595 13634 2016年3月 21 ↓ 5804 13634 7 4/12 333 13967 8 4/19 234 14201 9 4/26 285 14486 2016年4月 ↓ 852 14486 10 5/10 170 14656 関連CD Re Re ミカヅキ 平行線
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/32188.html
【検索用 さよならめらんこりー 登録タグ 2015年 VOCALOID あさぴー さ のぷまこ 曲 曲さ 結月ゆかり】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:のぷまこ 作曲:のぷまこ 編曲:のぷまこ ピアノ:あさぴー 唄:結月ゆかりV4(凛) 曲紹介 曲名:『さよならメランコリー』 歌詞 (PIAPROより転載) いま不意に一人きり 壊れそうなココロと 叶わないものばかり 苛まれては閉ざして そんな時いつも決まって 照れくさくも「愛」という確かなモノに 救われてばかりです 限りのある この温もり 君の為 使い果たそう 貰った力その応えを託して この手に触れ 頬に寄せて 君が無邪気に笑うから まだゆけると心震えて 生きてゆける だからね さよならメランコリー 自分だけの灯火を 追いかけてはくすぶって 幸せの明かりは ひとりじゃ灯らないと知った 知らず知らず この暮らしは 照れくさくも「愛」という確かなモノを 欲しがってばかりです 限りのある この温もり 君の為 使い果たそう 届かないと嘆く言葉を拭って この手に触れ 頬に寄せて 君が無邪気に笑うから まだゆけると心震えて 生きてゆける だからね さよならメランコリー 君の心に触れて人の心を知って 愛されることを知って愛することを覚えて だから 全てを手にして生まれるものよりも 育むことで授かる光を真実へと 限りのある この温もり 君の為 使い果たそう 貰った力その応えを託して この手に触れ 頬に寄せて 君が無邪気に笑うから まだゆけると心震えて 生きてゆける だからね さよならメランコリー コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/180.html
――今日は、修学旅行の二日目。 私たちは今、銀閣寺に来ているのだが、 ひとつだけ気になることがある。 ……かがみの様子がおかしい。 こちらが何を言っても気のない返事。 仕草もどこかそわそわした感じで、 心ここにあらず、という言葉がぴったりだ。 ……かがみ、どうしたんだろ? ・・・・・・・・・・。 ・・・・・。 ――21 00。 ホテルに帰って、ゴハンを食べたら 後はいつもの雑談タイムだ。 ――と行きたいのだが、 私は、いつの間にか忽然と姿を消したかがみを探している。 ……つかさ、みゆきさんの話では 「用がある」 と言って部屋を出たっきり戻ってないみたいだ。 ……普通に考えると、同じクラスの友達のところに 行ってそうなもんなんだけど、そこはさっき確認した。 ―ロビーに到着。 全面大理石張りの床には、 ふかふかで居心地のよさそうな椅子が並ぶ。 …予測通りほぼ同校の生徒で満員。 が、かがみの姿はない。 「はぁ……」 ため息を、一つ。 ――ふと、外の景色に目を向ける。 すでに外は真っ暗で、ビルの明かりが乱反射しており、 とても綺麗に見える。 視界を下に移すと、頻繁にすれ違う 車のヘッド/テールランプが流れる。 ――瞬間。 ……ひときわ明るいH.I.Dランプに照らされて、 浮かび上がる人影が、……ふたつ。 ――仲よさそうに今、手を繋いでいる所だ。 ……片方は見慣れたツインテール。 ――間違いなく、かがみだ。 …もう一人は……まったく知らない。 制服を着ているから、 同校の生徒だというのはすぐに分かった。 ――問題は、男だったということだ。 …問題? 普通に考えたら、友達にオトコができたとしたら 喜びそうなもんなのに……。 ――「何か」が強烈に、目の前の光景を拒んでいた。 ……見ていないことに、したかった。 ……早く、この場所から、逃げたかった。 ……だけど、体はまったく動かなかった。 「………っ!!」 ――体が石のように重く感じる。 心を吹っ切るように、走り出す。 ――息を切らして部屋に戻る。 オートロックのドアを開けると、みゆきさんが 一人でちょこんと座っていた。 「…?あれ?…つかさは?」 ……自然に振る舞ったつもり、だったんだけど よほど変な顔をしていたんだろう。 みゆきさんの顔は、すごく不思議そうな顔をしている。 「つかささんは、お土産を買いに行かれたようですが……」 「何か…、あったんですか…?」 …ほ~ら。やっぱり見抜かれてた…。 「…………」 「……私でよければ、…相談に乗れますよ?」 「……」 「…話して、楽になることもありますよ?」 ――同意を求めたかったのか、共感してほしかったのか それは分からないけど、口は自然に開いていた。 「“友達”に…カレシが、…できたみたいなんだよ」 「……」 「誰よりも…喜んであげたいのに…ぜんぜん、嬉しくないんだよ」 「……」 ――みゆきさんは、真面目な顔をしたまま、 私の話を、ただ黙って聞いている。 ……視線が、痛いよ。 ――思わずうつむいて、視線をそらす。 「…私、おかしいのかな。…間違ってるのかな…」 「……」 「……」 ――両人とも、沈黙が三秒ほど続いた。 先に口を開いたのは、みゆきさんだった。 「泉さんは…」 「…?」 「泉さんは、…そのお友達のことが、大好きなんですね」 「………ほえ?」 ……何で? ――みゆきさんの表情が、少し緩んだ気がする。 「それは今、泉さん自身が言われたことですよ?」 「……?」 「『喜びたいのに、喜べない』、『全然嬉しくない』って言われました」 「…うん」 ――みゆきさんの表情は、もういつも通りの笑顔になっていた。 「……後は消去法です」 「…そのお友達のことを、『嫌い』とか『普通のお友達』 と思っている人は、…そんな事言いません」 「……ぅん」 「…それなら、泉さんはそのお友達のことが『すごく大事』、『好き』 …だという事には、なりませんか?」 …『すごく大事』、『好き』…。 ……そうかも知れない。 ――でも。 「…でも、もう…」 「…カレシ…できちゃったんだよ?」 「――大丈夫です」 ……えらくキッパリ言い切るみゆきさん。 ――自信のような物まで、見て取れた。 ・・・・・・・。 ・・・。 「急用を思い出しましたので、ちょっと失礼しますね」 「え?」 ――言うが早いか、みゆきさんは すでに立って、歩き出していた。 ……高い身長に、長くて緩やかにウェーブのかかった髪。 立てばシャクヤク、座れば…なんて、「ことわざ」があるケド こういう人のことを言うんだろうなぁ~。 みゆきさんが、うらやましいよ。 私なんか…………。 ――「パタン」という扉が閉まる音が鳴ると、部屋は私一人になる。 流れから言って、"かなり"みゆきさんの行動が気になるのだが 本当に急用か、私にとって害になるようなこともないと思う。 ―放っておくか。 ……ひとりになっちゃった。 なんか寂しくなったなぁ。 DSしてようかな、とも考えたけど なんとなく、そんなのやる気になれなかった。 ――虚無感。 ただ広い空間の中に、私一人だけ置き去りにされたような そんな、感覚。 唐突に、私は少し未来のことを考え始めていた。 ……この先卒業しても、ひんぱんに連絡とか取って、 ず~っと一緒にいられると、思ってた。 ――かがみ。 ……欲しがってたオトコができて、よかったね。 かがみってばツンデレだから、 これからは、オトコにばっかりデレるんだろうなぁ。 やっぱ、フラれたりしない限りは、 そのまま結婚とかしちゃうんだろうなぁ。 …そんなのいやだよ…。 こっちにいてよ。 また、今までみたいに四人で楽しくやっていこうよ。 ――かがみっ。 …「いつもの」四人組も、もう…終わりなのかな…? なんか、かがみが遠くにいるように思えてきた。 オトコと一緒にご飯とか食べて、 オトコと一緒にデートとかして、 オトコと一緒に卒業して、 オトコと一緒に生活して、 そして……。 これから、かがみは私たちの知らないトコロに どんどん行っちゃうんだ。 将来は大学を出て、弁護士志望だって? かがみなら、絶対やれる。 今までずっと見て来たんだもん。 かたや、私は……。 ……私なんか…。 ――かがみぃっ!! ……あぁ、もうだめだ。鼻の奥のほうでツーンとした感覚。 もう…泣いちゃいそうだ。 ……同時に気づいた。 私は、こんなにもかがみのことが「大好き」なんだね…。 ――でも。 ……でも、もう遅いよ。 ・・・・・・・。 ・・・。 ――玄関の方で小さく、「カチ」と言う音がした。 カードリーダーで、ドアがアンロックされた。 ……みゆきさんかな? ――瞬間。 威勢のいい「バン!」と言う音を立てて 蹴破るような勢いで、ドアが開く。 ――続けて入ってくるのは、…かがみだ。 ……ツカツカと歩いてくるその顔は本当に、「鬼」のような顔つきだ。 おお、こわっ。 「ちょっとアンタ!!」 「!……!??」 ……な、なんでスか? というか、オトコできたからって「アンタ」呼ばわりですかい。 「見たわね!? …その、…オトコとあってるトコを!」 「ぇ? ……えと、………ぅん」 ……ちょっと待って。 なんで「見た」という事を知ってる? 「まず、誤解を解いておくと」 「私、オトコなんて……できてないから」 「……」 「まったく。変な妄想してんじゃないわよ!?」 「いろいろ聞かされたわ…。みゆきに」 ……え?オトコいないって、なに? と言うことは、わたしのカンチガイだったの? ってコトは、かがみ…って…フリー? つ~か、やっぱりみゆきさんだったんだ。 でなきゃ知ってるハズないもん。「見た」って事。 ――かがみの顔から怒気が引いている。 何故か、代わりに赤面してきたようだが…? 「それで…その、…知ってるんだから」 「?」 「アンタの………キモチ」 ………へ? 「その、…あの、…だから」 「言って欲しいな、…もう一回。…あんたの口から」 「ふぇ?」 ……みゆきさん。……あなたまさか? 「だって、あんたのキモチ知ってんのに」 「…自分から言うのも………は、恥ずかしいじゃないっ!」 ……み、みゆき…さん? あなたは…一体、…一体ナニをかがみに吹き込んだ―――!!!? …とはいっても、さっきまでの「大好き」 ってキモチにもウソはない。 ――要は、最良の状態で告白のチャンスを与えられたわけだ。 …みゆきさんによって。 ……言うんだ。 いま、ここで、私が、かがみにっ! …今しかない。…言うしかない。 大丈夫。きっと……大丈夫。 ――…いっけえええええええええええええ!!! 「私っかがみのコト好きっ。大好きっ!!」 「! …うんっ!」 ――地を蹴り、かがみが私に「飛んで」きた。 首根っこを抱きしめられ、畳に押し倒される。 正直、後頭部が滅茶苦茶痛い。 「私も! 好きだったよ! こなたっ!!」 「うんっ……うん」 ……よかった。 そっか。 通じてたんだ。 つ~か、声が大きいよ?かがみ? 「何度でも言ってあげるわよ! 好き! だぁ~い好きぃ!!」 「ちょ! ちょっと…こ、声が大きいよ」 「そんなの知らないわよ!!」 「…!?」 「私は! こなたの事が大好きっ!! って言ってんの!」 「わ、わかった。分かったから落ち着いて?」 ――これは恐らく、かがみなりの照れ隠しなのだろう。 だが、最悪なことにここはホテルだ。 両隣に、今頃ツツ抜けになっているだろう。 そんな私の心配をヨソに、かがみは嬉しそうに 私の髪を無我夢中で撫でている。 「……ぁ」 「?…どったの?」 「こなたの体って、思ったより小さいんだね」 ……悪かったな~。どうせ私はチビですよ。 私だって、気にしてんのに……。 ――思わず不機嫌な顔になってしまう。 「あ、いや。そういう意味じゃなくて」 「…」 「こなただけは、…『絶対』守らなきゃ! って、…思った」 「…ふむふむ」 ……二人で一緒に守られながら、か。 悪くないかも…ね。 「あ! そうだっ!」 ――何か妙案を思いついたらしい。 かがみの顔がパァっと明るくなる。 見ていて、私も同じくらい嬉しい気持ちになった。 「せっかく…『恋人』同士になったんだからさぁ」 「…二人っきりのときは、呼び方変えようよ?」 ……オトメだね~? かがみは。 「んじゃ、私は『かがみん♪』とでも呼ばせてもらうかな~」 「じゃあ、私は『こなちゃん♪』かな?」 ――アイタタタタタ…。 ……それは流石にナイっしょ。 『こなちゃん』って言ってあげるのョ――。 な~んて、ゆ~だけゆ~だけ、アハハ……。 「…かがみんはさ、普通に『こなた。』でいいよ」 「え~っ」 ――かがみは不満そうな顔をしているが 私が真剣な表情をしているので、本気と受け取ったらしい。 また、無言で私の髪をいじり始める。 「ねぇ、こなた」 「ん~?」 「…キス、しよっか」 「…かがみん…」 「こなた…」 ……もう。こんなふうにに名前呼び合っちゃったら やるっきゃないじゃん。 ――どちらからでもなく、目を閉じて。 初めはそっと、触れ合って。 そして、深く、優しく絡み合って。 ……あぁ。この瞬間がいつまでも、続けばいいのに。 ・・・・・。 ・・・。 ――私は今、つかささんと一緒にロビーの椅子で休憩しています。 ……私の考察、言動がすべて正しかったとすれば 今頃、かがみさんと泉さんは仲良くされているのでしょうね。 余計なことを…。と言われるかも知れませんが、 私は、行動せざるを得ませんでした。 お二人の気持ちを、知ってしまった為に。 そして、お二人が笑顔で笑っていられる為に。 そして、その光景を見ることで私自身も 幸せになれると思っています。 ひょっとしたら、「単なるワガママ」と言われるかもしれません。 ですが、こんな私で良かったら いつでも、お二人を暖かく見守っていますよ。 ……いつでも…いつまでも。 fin コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-16 02 28 31) こ~なたんっ♪ -- かがみ(ぷにゃねこ) (2013-02-07 19 16 37) ↓蜂屋せいいちだと思われ。 アニメの21話に出てきたヤツ。 -- 名無しさん (2012-11-10 17 47 28) 男とは!? -- かがみんラブ (2012-09-15 04 44 56) ラストのみゆきさんの語りがカッコいいッス! -- 名無しさん (2012-06-16 13 25 10) この後は、二人きりになったらバカップルになって、 こなたへの呼び名が「こなタン」に変わるに違いない …という妄想 -- 名無しさん (2011-10-23 20 42 47) みゆきさん超すげー流石眼鏡キャラwwwwwww -- 名無しさん (2010-08-11 20 54 47) みゆきさんは天使。これマメな -- 名無しさん (2009-12-07 19 46 51) みゆきさんナイスです>ω<b 読んでて何度もそう思いましたww -- ひな (2009-05-18 18 06 43) みゆきさんが良い人過ぎたw 気持ちの良いSSですねw -- 名無しさん (2009-03-19 16 50 04) なんという爽快感www -- 名無しさん (2008-12-05 12 38 07) みゆきさんサイコー!! あんな友達思いは他にいない!!! -- ユウ (2008-06-04 17 41 19)
https://w.atwiki.jp/sundayrowa/pages/242.html
さよなら旧い自分 ◆hqLsjDR84w ◇ ◇ ◇ 「……さて」 もうすっかり昇りきった日の下で、憲兵番長こと伊崎剣司が誰にともなく呟く。 河原に向かったギイとシルベストリを見送ってから、とうに十分ばかし経過している。 その間、いったいなにをしていたのかといえば、ひとえに『仕込み』をしていたのである。 彼は人を斬る音色を愉しむことこそ最上の快楽としているが、しかしあくまで最上であって唯一ではない。 単に人体に刃を滑り通せればそれでよいのではなく、むしろその過程をも堪能するべく趣向を凝らすタイプなのだ。 その憲兵番長の視線の先には、地べたの上で横たわる少女――魔物の子・チェリッシュ。 すぐ横で一人の命が奪われた事実も知らずに、未だ意識を取り戻す素振りすら見せていない。 眠ったままの彼女に雷神剣の刃を突き刺してやるというのも、決して憲兵番長の趣向から外れていない。 脳が鳴らす激痛という名の警笛によって目覚めたとしても、いったい自身になにがあったのかすぐには分からないだろう。 結局理解できぬままであれば呆然としたまま息絶え、仮に理解できたとしても結局は絶望を抱いて死んでいく。 それはそれで相当に滑稽であり、かつ身体を貫く音色も存分に味わえるであろう。 ――が、憲兵番長は脳内に浮かんでいたその案を却下した。 というのも、ほんの少し前に同じことをやったばかりなのだ。 自らを鉄人と称していた西洋人――パルコ・フォルゴレを斬る際、まったく同じ手順を取っていた。 それからまだ大して時間も経っていない以上、また異なる方法を考えねばなるまい。 そう思い立ったがゆえに、憲兵番長は十分ほどかけて『仕込み』を行ったのだ。 つまり――いま現在チェリッシュが生き延びているのは、ある種フォルゴレのおかげと言えるだろう。 そのように見た場合、フォルゴレはたしかにチェリッシュの命を守ったと言えるかもしれない。 はたしてそれが幸運であるのかどうかはさておき、だが。 「そろそろ起きてもらえないかな?」 声をかけながら、憲兵番長はチェリッシュの脇腹を足で小突く。 起きないのであればこのまま思い切り蹴り上げてしまってもよいが、少なくとも現段階でする気はない。 注意深く観察したので分かっているが、まだチェリッシュの身体に目立った外傷はない。 無傷の獲物であるにもかかわらず斬る前に傷をつけてしまうのを、憲兵番長はよしとしない。 とはいえ、憲兵番長の身体能力は非常に高い。 本人としては軽く小突いているつもりであっても、軍用ブーツの爪先はチェリッシュの腹に深く喰い込む。 ほどなくしてチェリッシュは目覚めたものの、起きるや否や盛大にむせ込むのだった。 「ふふ、小生としてはそこまで力を籠めたつもりはなかったのだがね。 いやはや、本当に申し訳ない。身体に傷がついてしまったら大変なことだ」 わざとらしい口調ではあっても、これは間違いなく憲兵番長の本心だ。 そんな事実に気付くはずもなく、覚醒したチェリッシュは憲兵番長を睨みつける。 周囲の景色が切り替わっているのも、眼前にいたはずの二人が消えているのも、そもそもいつ眠ってしまっていたのかも、当然疑問ではあったが振り払った。 思考は混乱しているが、それでも取らねばならない行動は分かった。 むせ返る自身を眺める憲兵番長の暗く冷たい瞳が、チェリッシュの取る選択肢をたった一つにしたのだ。 「ギガノ――」 傍らに置かれていた魔本を手に取って、呪文を唱える。 混乱していると言っても、先ほど金剛番長を相手にしたときほどではない。 いったん意識を失った分だけ、僅かに落ち着きを取り戻しているのだ。 全力とはいかないにしても、先刻の張りぼて同然のものとはほど遠い。 たしかに力の籠められた巨大な宝石が、なにもなかった空中に出現する。 「コファルッ!」 ――それが憲兵番長の思惑通りなどと知る由もなく、チェリッシュは呪文を唱え切った。 チェリッシュの傍らに、どうして魔本しか置かれていなかったのか。 フォルゴレの死体も、チェリッシュのリュックサックも、なぜ片付けられていたのか。 そもそもの話、憲兵番長はなぜそのような行為に時間を費やしたのか。 それは、チェリッシュが単なる少女でないと分かっていたからである。 地面に散らばっていた魔本とその説明書を読み、彼女が戦う力を所持していると知っていたのだ。 憲兵番長は人を斬る音色を最上の快楽としているだけで、それ以外に愉しみを知らぬ人間ではない。 戦うに足るだけの能力があるのならば、それを正面から打ち倒したいとも思う。 そんな――戦闘狂としての性質も、持ち合わせているのだ。 ゆえに、魔本以外の道具を回収した。 他に戦闘に使えそうな道具はなかったのだから、武器となる魔本以外を傍らに置く意味はない。 フォルゴレの死体を民家の陰に隠したのは、チェリッシュが心を乱さぬためである。 魔本の説明書によって、魔物の術には『心の力』が必要なのは判明していた。 ならば、余計な障害は取り除くべきだと考えたのだ。 歓喜の念を隠そうともせず、憲兵番長の口元が弧を描く。 雷神剣の柄に手をやると、昂る期待に呼応するように雷神剣が『鳴いた』。 無数のスズメバチが羽ばたいたような音を立てて、青白い火花が飛び散らせたのだ。 放出された電撃は刀身を覆い尽くし、眩い光を放つ雷刃を形成していく。 この使い手の意図するままに形状を変える刃で、迫りくる巨大な宝石を両断してくれる。 そんな憲兵番長の思いに反して、ギガノ・コファルは霧となって大気に溶けていく。 「……なに?」 眉を潜める憲兵番長の眼前で、チェリッシュはへたり込んでいた。 手元から滑り落ちた魔本を拾おうともせず、ただ茫然としている。 目は見開いたまままばたき一つせず、半開きの口は小刻みに痙攣している。 この殺し合いに巻き込まれる以前、チェリッシュはゼオン・ベルに電撃による拷問を受けている。 雷神剣が放った電撃によりそのトラウマが蘇ったのだが、そんなことを憲兵番長が知るはずもない。 それでも、戦闘など行えるコンディションでないのは容易に見て取れた。 「さすがに、この結末は予想していなかったな」 淡々とした口調とは対照的に、憲兵番長は憮然たる面持ちだ。 一瞬前までの昂揚感は完全に消え失せ、満たされぬ思いだけが胸中を渦巻いている。 わざわざ手間をかけて準備などしたのもあって、余計に不完全燃焼だ。 このまま震えているチェリッシュを両断したとて、到底この不満が解消されることはないだろう。 そのように考えつつ歩み寄っていくなかで、憲兵番長はようやく気付く。 チェリッシュの視線が憲兵番長自身ではなく、雷神剣に向けられていることに。 怪訝に思い、雷刃の刀身を数メートル伸ばす。 すると、チェリッシュの視線は伸びた切っ先に向けられていることが分かる。 ここに至ってようやく、憲兵番長はチェリッシュが電撃に対して潜在的なトラウマがあることを悟った。 「なるほど」 わざわざ口に出して大きく頷くと、憲兵番長は雷刃を解除する。 雷神剣の刀身を覆う電撃がなくなり、その外見上は単なる日本刀と化す。 チェリッシュの震えが僅かに治まり、過呼吸気味だった呼吸が落ち着いている。 その動作で、憲兵番長は脳裏に浮かんだ仮説が正しかったことを確信し――地面を蹴った。 一気にチェリッシュとの距離を詰めると、防御なぞする隙を与えずに鳩尾に軍用ブーツの爪先を抉り込む。 「ガふッ!」 チェリッシュは凄まじい勢いで吹き飛んで行き、民家の壁に盛大に背を打ってようやく止まる。 整いつつあった呼吸は、先ほどより遥かに乱れてしまっている。 どうにか呼吸を整えようとしたチェリッシュは、民家の陰に隠れたものを見つけてしまう。 上半身と下半身で綺麗に切断された――パルコ・フォルゴレの亡骸を。 影になっておりよくは見えなかったが、それでも死んでいるのは明らかだった。 「ぅ、ぁ、ひぃぃぃぃぃぃっ」 反射的に走って逃げ出そうとするが、鳩尾と背に走った衝撃が大きく立ち上がることすらできない。 どうにか這いずってでも移動しようとして、チェリッシュの視界に影が差す。 おそるおそる振り返ると、そこには自分を蹴り飛ばした白制服の男が立っていた。 その顔面には先ほどと異なり笑みが張り付いていたが、やはり瞳だけは変わらず冷え切ったままであった。 「訊きたいことがあるのだが」 憲兵番長が、チェリッシュのウェーブがかった金髪に手を伸ばす。 「ぁ――」 悲鳴を上げる暇すら、チェリッシュには与えられなかった。 チェリッシュの髪を掴むと、憲兵番長は――そのまま真下に叩き付けたのだ。 モチノキ町は決して発展しているワケではないが、エリアD-4は繁華街である。 いかに都会とは言えぬ土地であろうとも、さすがに繁華街の地面はアスファルトで塗装されている。 その硬いアスファルトに、チェリッシュは顔面から打ちつけられることとなった。 鈍い音が辺りに響き渡るが、しかしチェリッシュの聴覚をもっとも刺激したのはまた別の音であった。 めきゃり――という、やけに軽い響きだ。 それが鼻が折れた音だと分かったのは、再び持ち上げられた際に顔面から地面に通じる紅い滝が見えてからだった。 「ご……ぉ……」 意図せず、チェリッシュからくぐもった声が漏れる。 その間も紅い滝はだくだくと流れていき、アスファルトを赤黒く染める。 塗装されているので地中に染み込んでしまうことはなく、地上に溜まっていく。 数十秒と待たずして、地面に赤い水たまりができあがった。 「君に『刷り込んだ』のは、いったい誰なんだい? それは、この殺し合いに呼び出されている誰かなのかな?」 尋ねながら、憲兵番長は再び手を上下させた。 紅く温かな水たまりに、チェリッシュの顔面が叩き付けられる。 再度持ち上げられてみれば、紅い滝の水勢は増していくばかりだ。 チェリッシュは思考を巡らせる。 『刷り込んだ』とはなにのことなのか。 あまりに質問が端的すぎて、いったいなにを指しているのか分からない。 しかし答えねばなるまい。 早く答えねば―― 「聞こえてるのかな?」 僅かに苛立ちを孕んだ声とともに、憲兵番長が腕を上下させる。 勢いよく変化する視界。 襲いかかる落下感。 浴びせられる風。 ――轟音。 アスファルトに打ちつけられる音以外にも、微かに聞こえるものがあった。 折れた骨がさらに微細に砕ける。 硬いアスファルトで肌が切れる。 アスファルトの破片が喰い込む。 髪の毛が何本か引き千切られる。 繋がっていたなにかが裂ける。 口から空気が零れていく。 「う、ぐ、ぶ」 「まだ口を割らないのかい? 強情だねえ」 軽口を叩くような口調とともに、またしても繰り返される。 手放してしまいそうな意識を繋ぎとめて、チェリッシュはどうにか思考を巡らす。 『刷り込んだ』の意味を見定めようとする。 なにが憲兵番長の癇に障ったのか。 思い返してみれば、彼が態度を変えたのはギガノ・コファルが消滅してからである。 その際に関わりのある『刷り込まれた』なにかと言えば―― 「ぇ、お……」 「聞き取れないな」 何度目かになるアスファルトへの顔面ダイブ。 もはや視界はほとんど効かず、聴覚は麻痺し、ただ落下感と痛みだけがある。 どうにか言葉を発するべく、次に持ち上げられるときへと意識を集中させる。 唇が震えている上に呼吸が乱れているが、どうにか搾り出すように言い放つ。 「ォ……ン! ……に……っ! 電撃の……きょぅ……ふをっ刷り込んだのは……! ゼオン・ベ――」 最後まで言い切られることはなく、チェリッシュはアスファルトに顔面を叩き付けられる。 答えれば解放されるという無意識のうちに抱いていた希望は、答え終わる瞬間を待たずして砕かれる。 「ふむふむ、ゼオン・ベル。 名簿には同じ姓のガッシュ・ベルという参加者がいるが、関係はあるのかい?」 「知らな――」 またしても言い切ることは許されず、言わんとする内容が分かるや否や叩き付けられる。 それからなにか尋ねられることさえなく、四回ほど地面にただ顔面を打ち据えられ続ける。 「なるほどなるほど。 そのゼオンという輩は気になるところだ。小生の獲物に先に唾をつけておくとあっては」 最後にいっそう強く叩き付けたのちそのまま十メートルほど地面に擦りつけられて、やっとチェリッシュは解放される。 もはやその行為に憲兵番長が鬱憤を晴らす以外の意味がないことは、チェリッシュにも理解できていた。 「う、ぅぅぅぅ…………」 手放されても、立ち上がることはおろか這うことすらできない。 鼻は砕け、額は割れ、顎は折れ、さらに顔面全体余すとこなく傷付き、おびただしい量の血を垂れ流しているのだ。 動けなくて当然であり、どうにか遠ざかろうとのたうつだけで十分凄まじい生命力である。 (魔物というだけある、ということか。 いやはや、そんなものが存在するなんてねえ) などと他人事のように分析しながら、憲兵番長はこれまでに出会った参加者を振り返っていく。 『帽子屋(マッドハッター)』キース・シルバー、炎術師・花菱烈火、サムライ・佐々木小次郎に宮本武蔵、人形遣い・ギイ、自動人形・シルベストリ。 彼らを思えば、魔物くらいいてもおかしくはないのかもしれない。 というか、憲兵番長の友人である日本番長など怪物の類と言えなくもない。 そこまで考えたところで、ある考えが憲兵番長の脳裏を掠めた。 (下らぬ戯言と切り捨てていたが、『アレ』も真実かもしれないな) 『アレ』とは、憲兵番長に支給されていた支給品のことである。 元より、雷神剣すら説明書の文面を全面的に信用していたワケではないのだ。 いざ手に取ってみて、雷神を前にしては信じるしかなくなったにすぎない。 「試してみるとしよう」 あえて口に出して、地面の上でうごめくチェリッシュに歩み寄っていく。 どうやら逃げようとしているようだが、その動きは羽を失った蝶よりも緩慢だ。 先ほどまでと同じように髪を掴んで、無理矢理に顔面を引き寄せる。 そうしてから、元の整った目鼻立ちが分からぬほど傷だらけの顔に向けて言い放つ。 「いやはや、少し訊くだけだというのに手荒い真似をして悪かったね」 わざとらしい笑みを浮かべて、リュックサックから液体の入った小瓶を取り出す。 「『治して』あげるよ」 その液体を飲んではならない。 チェリッシュは、本能的に判断した。 残った力を振り絞って口を閉ざす。 「遠慮しなくていいのだよ」 そんなささやかな抵抗を、憲兵番長は嘲笑う。 折れ曲がった鼻を潰すほどの勢いでつねられ、チェリッシュは気道を確保するために口を開くしかなくなる。 そうして空いた口に、フタを開けられたビンが放り込まれた。 吐き出そうにもそのまま口を掌で押さえつけられてしまい――ついには嚥下するしかなくなってしまう。 「…………え?」 一瞬ののち、チェリッシュは呆けたような声を漏らした。 というのも――本当に治ったのだ。 砕けた骨は再生し、血管は繋がり、皮膚は塞がり、痛みは消し飛んだ。 服は血塗れであるが、それだけだ。 魔物の治癒力すら凌駕した速度で、肉体は完全に回復している。 「だから遠慮しなくていいと言ったじゃないか」 微笑みながら、憲兵番長はチェリッシュにその液体の説明書を渡す。 それに目を通すチェリッシュであったが、行を追うごとにどんどん顔色が青くなっていく。 憲兵番長が飲ませた薬の名は――『神酒(ソーマ)』。 服用すれば新陳代謝が異常加速し、老化が止まって若返る上にいかなる傷もたちどころに再生可能となる。 まさしく、不老不死の妙薬。 ――という触れ込みで売り捌かれた劇薬。 実際のところ、異常加速した新陳代謝に身体がついていけるはずがない。 膨大なエネルギーを消費してしまう上、効果が切れれば急激に老化してしまう。 一度でも服用してしまえば、服用を続ける以外に生き延びる術はない。 「つまりだね、君は――」 冷笑を絶やさずに、憲兵番長は続ける。 「もしも死にたくないのであれば、いま小生が持っている三本をなんとしても飲まねばならないのだよ」 より笑みを深くして、憲兵番長は雷神剣をチェリッシュの太ももに突き刺す。 傷は見る見る回復していくが、チェリッシュの表情に生気が戻ることはない。 身体は生き生きとしているというのに、表情だけが死人のようであった。 「そうだな。とりあえず、四人殺すごとに一本、でどうだい?」 チェリッシュの返事はない。 ソーマの影響で血行はいいはずなのに、顔色はやたらと青かった。 そんな困惑を露にするチェリッシュに対して、憲兵番長は笑みを向けたまま。 「ああ、そうか。さっきみたいになったら術は撃てないものね。 他に殺すための手段が欲しいか。まったく、気が回らなくてすまないね。 いやいや気にしなくていい。ちょうど使い道のない道具があってね。髪の長い君ならば、きっと使いこなせることだろう」 違う――と。 否定の声を出す前に、チェリッシュの胸には雷神剣の刀身が突き刺さっていた。 「は……?」 事態を呑み込めぬチェリッシュが、気の抜けた声を漏らす。 遅れて痛みがやってきたのか、表情が歪む。 そんな様子を眺めながら、憲兵番長は口角を吊り上げた。 「うぇ、ぎぎぎぎぎぎィィィィィイィィッ!?」 雷神剣の刀身を電撃が覆い、チェリッシュの身体に伝わっていく。 ゼオンの拷問がフラッシュバックし、チェリッシュが体感する電撃は二倍。 四肢が吊ったように張り上がり、眼球がぐるんと白目を剥く。 傷口より溢れ出した赤黒い血液が、電熱で蒸発していく。 当然、電熱を受けるのは血液だけではない。 胸に突き刺さった雷神剣より電撃は放たれているのだから、チェリッシュは体内から焼かれていくことになる。 「ぎぎがあ゛あ゛あ゛ゔゔあああああお゛ァァァァ――ッ!?」 張っていた手足がせわしなく動き出す。 焼け焦げた血肉の臭いが辺りに立ち込めていく。 数分ほど経って、ようやく憲兵番長は雷神剣を抜き取る。 その際にわざわざ刀身を回転させたせいで、焼け焦げた肉が体外に抉り取られる。 さながら操り糸の切れたマリオネットのように、チェリッシュはアスファルトの上にくずおれる。 先ほどまで叩き付けられていた冷たいアスファルトが、いまとなってはやけに心地よかった。 そんな彼女を見下ろすようにしながら、憲兵番長がしゃがみ込む。 その右手には、内面に『髪』という漢字の描かれたソフトボール大の球体があった。 「いやはや。すぐに治る以上、これくらいしなくては『埋め込め』られないからねえ」 チェリッシュは、脳内に浮かんだ可能性を否定する。 さすがにするはずがないと、自分自身にそう言い聞かせる。 そんな期待を裏切るように、憲兵番長はその球体を――チェリッシュの胸に開けられた刺し傷に押し付けた。 そうして、そのまま傷口へと強引に押し込んでいく。 「いぎィィィィッ! あッ、げあッ、がッ、ぎいいいいいいいいいいいいッ!!」 焼き切られて未だ熱を持っている肉体に、異物が挿入される。 ソフトボール大と言っても、人体に埋め込むにはあまりに巨大すぎる。 ぶちぶち音を立てて、再生しかけていた血管や肉が千切れていく。 断ち切られた胸骨を強引に押しのけていくのだが、押しのけられた胸骨は行き場もなく肺に突き刺さる。 呼吸をするだけで胸に激痛が走るが、その状態を保ったまま肉体は強引に再生をしていく。 「ふむ。入り切らないか」 そう言うと、憲兵番長は足を大きく振り上げ―― 軍用ブーツの硬いカカトで、チェリッシュの胸に埋まった球を強引に押し込んだ。 「あごぉあああおおう、う゛う゛あ゛あ゛ア゛アア゛ア゛ォォエェ゛ィ゛ィィィ――ッ!!!」 一際大きな悲鳴が上げると、チェリッシュはまたしても意識を失う。 口の端から溢れるよだれは、次第に泡立ったものへと変化していく。 ◇ ◇ ◇ 治癒が終わるのを待ってから、憲兵番長はチェリッシュを蹴り起こした。 目覚めた彼女は、もはや一切の抵抗をしなかった。 人を殺せと指示しているにもかかわらず、ただ頷くだけだ。 「ちょうどよかったじゃないか。 君の持っていた花は、ソーマの原料でね。 これだけあれば、十分長生きできるだけのソーマが作れるよ」 とんだ出まかせである。 憲兵番長がソーマの存在を知ったのはこの殺し合いの会場に来てからであり、精製方法など教えられていない。 そのことに気付いているのかいないのか、チェリッシュはやはり頷くだけであった。 「…………」 無言で頷いているだけの彼女が着ているのは、血塗れの衣服ではない。 あの服は憲兵番長に脱ぐよう命令され、なにも言わずそれに従った。 現在、彼女が着ているのは血塗れとはほど遠い純白のドレスだ。 支給品を確認した当初、ほんの少しだけ舞い上がってしまった――そんなウェディングドレス。 もしもこれを着るのならば、そのときに隣にいるのはいったい誰だろう。 そう想像したとき、不思議と浮かんだのは長い付き合いのリーゼントの少年だった。 彼はもうこの世にはおらず、彼の屈託のない笑みとは似て非なる冷笑を浮かべる男が隣にいるのだった。 (…………死にたくない) ただただ、チェリッシュはそう思った。 【D-4 路上/一日目 午前】 【伊崎剣司(憲兵番長)】 [時間軸]:居合番長との再戦前 [状態]:疲労(小)、胸元に真一文字の傷、制服ちょい焦げ [装備]:雷神剣@YAIBA、死亡者詳細データ端末@オリジナル [道具]:基本支給品一式×3、錫杖@うしおととら、神酒(ソーマ)×3@スプリガン、アンブロディア@スプリガン、ランダム支給品0~1 [基本方針]:人を斬る。おもしろいのでギイと行動。ギイとシルベストリの向かった河原に向かう。 【チェリッシュ】 [時間軸]:ガッシュ戦直前 [状態]:神酒服用済み [装備]:チェリッシュの魔本@金色のガッシュ、ウェディングドレス@現実、式髪(体内)@烈火の炎 [道具]:なし [基本方針]:憲兵番長についていく。死にたくない。 【支給品紹介】 【神酒(ソーマ)@スプリガン】 伊崎剣司(憲兵番長)に支給された。 古代植物『アンブロディア』を精製して作り出される飲み薬。 服用すれば新陳代謝が異常加速し、老化が止まり若返る上にいかなる傷もたちどころに再生可能となる。 まさしく、不老不死の薬である。 …………という触れ込みで売り捌かれていたが、そんなおいしい話があるはずもなく。 実際のところは異常加速した新陳代謝に身体のほうがついていけず、効果が切れれば急激に老化してしまう劇薬。 一度でも服用したが最後、死ぬまで服用し続けなくてはならなくなる。 なお新陳代謝が異常加速するだけであるので、丸ごと喪失した部位まで再生するワケではない。 【アンブロディア@スプリガン】 チェリッシュに支給された。 古代植物であり、またの名を甘露草。 すでに絶滅したはずであったが、残っていた種から復元に成功した。 仙道で言う仙丹の原料になる植物であり、本来は精神そのものを物質化するための薬となる。 しかし中途半端な知識で製造することで、神酒(ソーマ)のような劇薬となってしまう。 蓮によく似た水生植物であり、白い花を咲かせる。 【式髪@烈火の炎】 宮本武蔵に支給された。 毛を硬質化させることのできる魔道具。 本来は数本抜いた髪を杭とするなど、武器を持っていないと油断している相手の不意打ちとして用いられる。 しかし麗十神衆の一人・幻獣朗の研究によって、体内に埋め込めれば髪の毛全体を一つの武器として操作することも可能だと判明した。 【ウェディングドレス@現実】 チェリッシュに支給された。 白いアレ。 女の子の夢とかいうアレ。 こういう支給品を出す際に支給品説明は必要なのかと、書いているときにいつも思う。 投下順で読む 前へ:導火 戻る 次へ:死んだらおわり 時系列順で読む 前へ:導火 戻る 次へ:死んだらおわり キャラを追って読む 103:導火 チェリッシュ :[[]] 伊崎剣司(憲兵番長 ▲
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5046.html
第3章 2日目 今日から短縮授業。もう冬休みは近い。どうりで寒いはずだ。さらに追い討ちをかけるように眠い。昨日遅くまで小説づくりをしていたせいだ。寒さと眠さに打ち勝ち、やっとのことで布団から脱したころには、目覚ましをセットした時刻をだいぶ過ぎており、慌てて支度をして家を飛び出した。睡眠不足の体には寒さと果てしなく続く坂は堪える。 わたしは小走りで坂を登りながら昨日の不思議な出来事について考えようとした。わたしが思いを寄せる人が、急に部室にやってきた。ここまではわたしの書いている小説そのものだ。しかし、小説では泣き崩れるわたしを心配した彼が声をかけるのに対し、現実では何のきっかけもなくいきなり彼が部屋に飛び込んできて、わたしのことを『宇宙人』と言う。事実は小説より奇なりというがいくらなんでも、奇怪すぎるだろう。もしかしたら、昨日の出来事はわたしが部室で居眠りをしていたときに見た夢なのかもしれない。そう思えてくる。 わたしが寒さと眠さと戦いながら坂を登っていると、背後から元気な声が聞こえた。 「おはよう」 朝倉さんだった。彼女はわたしと同じマンションに住む同級生でわたしの唯一の友人だ。 「長門さん。今日も眠そうな顔して。どうせ、夜遅くまで小説書いてたんでしょう」 彼女は驚くほど、勘が鋭く、彼女には隠しごとはできそうもない。小説を書いていることも彼女だけは知っている。 「ところで」 朝倉さんは急に笑顔になる。 「昨日、彼に会ったでしょ」 これにはたまげた。なぜ、そんなことまで知っているのか。部室に盗聴器でもあるのではないか。 「うしろ」 彼女が指さした後方に彼がいた。 「いま、追い抜いてきたんだけど彼、入部届けを持っていたの。あれ文芸部のでしょ」 よくもまあ、そんなところまで観察できるものだと関心してしまう。 「彼、文芸部に入るつもりなの」 「わからない。彼が昨日いきなり訪ねてきた」 「彼の様子はおかしくなかった」 「……どうして」 「昨日、様子が変だったの。わたしを見るなり、『どうしてお前がここにいる。それはお前の机じゃない。ハルヒのだ』って言うのよ。ハルヒって子が誰だか知らないけど、とにかく様子がおかしかったわ。昨日まで特に変わった様子はなかったんだけど……何か変なこと言ったりしなかった?」 「特に変わったことはなかった」 別に彼を擁護しようと思ったわけではないが、何か特別な事情を抱えているだけで気が変になっているわけでもないように思えたのでそう答えることにした。 「とにかく、彼には注意した方がいいわ。文芸部に来たのも何か関係あるかもしれないし」 やはり彼が部室に来たのは、文芸部に入部しようと思ったから……ではなく別の理由があるのだろうか。もしそうなら、彼はもう来ないかもしれない。不安がよぎった。 授業が終わり、部室に向かう。いつもより歩速が速いのは気のせいではないだろう。 彼は来てくれるだろうか。わたしは部室で1人待ち続けた。 コンコン ノックの音が沈黙を破る。 「どうぞ」 扉がゆっくり開く。彼だった。 「また来てよかったか」 でも、彼がどんな顔をしていたかはわからない。恥ずかしくて、顔を上げることができず、視線は本に向けていたからだ。彼は部室に入り、鞄を部屋の隅に立てかけて、本棚を眺めていた。 沈黙。 わたしは何かしゃべらないといけないと思ったが何を言っていいかわからず、黙って本を読んでいた。本の内容なんて頭に入らなかったのだが。 沈黙を破ったのは彼だった。 「全部、お前の本か?」 「前から置いてあったのもある」 わたしは持っていた本の表紙を見せて、 「これは借りたもの。市立図書館から」 必死に会話をつないだ……つもりだったが、ここで会話が途切れてしまった。 再び気まずい沈黙が続く。 何か話しかけなければと思うが、こういうときどういう話をすればいいのだろうか。わたしがおろおろしているとまたしても彼が沈黙を破ってくれた。 「小説、自分で書いたりしないのか?」 唐突な質問に、もしや彼はわたしが小説を書いていることを知っているのではないかと思い冷や汗をかいたが、冷静に考えてみれば彼が知っているはずないか。 「読むだけ」 また沈黙。 ここで、書いているとでも言えば、会話が続いたのかもしれないが、それはそれで恥ずかしいし、まだ会話が途切れる方がましか。 彼はわたしとの会話をやめて、本棚に目を移していた。せっかく来てくれたのに……このまま、帰ってしまえばもう会えないかもしれない。自分の話術のなさに絶望している場合ではなく、必死に話題を探した。彼は読みたい本を探しているのか、本棚から本を取り出しては本をパラパラとめくり、再び本を戻すということを繰り返していた。彼はどんな本が好きなのだろうか。 彼はある本を手にし、念入りに見ていた。それは海外SF大長編で、わたしが本好きになったきっかけを作った本でもあった。 彼が本をめくっていると ヒラリ 1枚の栞が落ちた。彼はそれを拾い上げ、凝視している。 彼はわたしの元に来て、その栞を見せた。 「これを書いたのはお前か?」 そこには 『プログラム起動条件・鍵をそろえよ。最終期限・二日後』 と書かれている。しかもわたしの字で。 わたしは字に特徴がある。無機質な字とよく言われる。 そこに書かれている字はそんなわたしの字の特徴をしっかり捉えていた。 しかし、わたしがこんな文を書いた記憶はない。 「わたしの字に似ている。でも……知らない。書いた覚えがない」 「……そうか。そうだろうな。いや、いいんだ。知ってたらこっちが困ってたところだ。 ちょっと気になることがあってな。いーや、こっちの話で……」 こっちの話? やはり様子がおかしい。彼はこの部屋で何がを探している? そして、その手がかりがあの栞なのだろうか。 「今日は帰るよ」 突然の宣言だった。 「そう」 ダメだ。このまま帰ってしまえば2度と話すこともないかもしれない。わたしも本を鞄にしまい込み立ち上がり、一緒に帰ろう……その台詞が言えない。わたしはただ彼が帰ろうとする姿を見るだけだった。そんなわたしに気づき彼はわたしに声をかけてくれた。 「なあ、長門」 「なに?」 「お前、一人暮らしだっけ」 なぜ、知っているのだろうか。朝倉さんがわたしのことをいろいろしゃべっているのだろうか。 「……そう。来る?」 「どこに?」 「わたしの家」 今日一番会話が続いた。なんて、言っている場合じゃない。大胆なことを言ってしまった。 言ってしまったあと、しまったと思った。 「……いいのか?」 「いい」 そうして、彼と一緒に下校し、家に行くことになった。 彼と肩を並べ、坂を下った。緊張のあまり何も話すことができないままマンションに着いた。家に着き、彼をリビングに案内し、わたしはお茶を煎れる準備をした。わたしがお茶を持ってリビングに戻ると、彼は畳の部屋を指しこう言った。 「この部屋、見せてもらっていいか?」 特に断る理由もなかったのでわたしは承諾することにした。 「どうぞ」 「ちょっと失礼する」 この部屋はわたしの寝室だが、布団は押し入れにあるので今は畳しかない。彼は部屋に何もないことを確認するとすぐに襖を閉じ、わたしに両手を開いて見せた。彼の時折見せるおかしな行動。それが何なのかわたしにはわからない。考えたところで解りそうもないし、彼に聞けばまた宇宙人やらアンドロイドやらの話を聞かされるような気がして聞くのを躊躇した。 ただ、これだけは確認しておきたい。彼が図書館でのことを覚えているのか。もし彼があのことを覚えていないのならば、彼はわたしのことを何も知らず、単にわたしを宇宙人と勘違いして文芸部に来たことになる。わたしは絞り出すように言った。 「わたしはあなたに会ったことがある。学校外で。覚えてる? 図書館のこと。あなたがカードを作ってくれた」 「お前、」 彼は目を見開いた。彼の反応でわかった。彼は知っている。わたしは嬉しくなった。 「五月半ば頃。わたしが北口駅近くの市立図書館で……」 わたしは必死になって図書館での出来事を詳しく話した。 「それが、あなただった」 言い終えた後、わたしは後悔した。彼は何も言わなかったからだ。わたしも何も言えなくなった。 沈黙が続いた。 ピン、ポーン 沈黙を破る突然のインターホン。誰だろう。 わたしは立ち上がり呼び鈴に出た。 「長門さん。朝倉です」 わたしは動転する。 「おでん作ったんだけど作り過ぎちゃったから一緒に食べようと思って」 「いまは……」 「どうかしたの?」 「いや、その……」 「忙しいんだったら、長門さんの分だけ置いていくわ」 まずい。中には彼がいる。玄関から部屋の中の様子がわからないようにリビングに続く扉をしめれば……ダメだ。玄関には彼の靴が置いてある。靴を下駄箱に隠して……彼が物音を立ててればバレてしまう。とにかく扉を開けるわけには…… 「とにかく開けて」 そのまま追い返すわけにもいかないし、変に隠して誤解を生むともっとおおごとになるとも思い、無条件降伏をしてしまった。 リビングに入ってきた朝倉さんは彼を見て 「あら? なぜ、あなたがここにいるの? 不思議ね。長門さんが男の子を連れてくるなんて。まさか、ムリヤリ押しかけたんじゃないでしょうね」 「お前こそ、なんだってここにまで登場するんだ」 「わたしはボランティアみたいなものよ。あなたがいることのほうが意外だな」 朝倉さんは大きな鍋をコタツの上に置いた。 「作り過ぎちゃったかしら。ちょっと熱くて重かったわ」 なかなか扉を開けないわたしに対する嫌みにしか聞こえなかった。 わたしは箸の用意をするという名目で、キッチンに避難した。朝倉さんは彼と話していた。 わたしは朝倉さんは彼の会話をキッチンで聞きながら食事の準備をした。 「朝倉が作ったのか?」 「そうよ。大量に作ってもそう手間のかからない物は、こうして時々長門さんにも差し入れるの。放っておくと長門さんはロクな食事をしないから」 「それで? あなたがいる理由を教えてくれない? 気になるものね」 「あー、ええとだ。長門とは帰り道に一緒になって……。そう、俺はいま文芸部に入ろうかどうか悩んでいる。そいつをちょっと相談しながら歩いてたんだ。そうしているうちにこのマンションの近くまで来たからさ、話の続きもあるしで、上がらせてもらった。無理にじゃないぜ」 彼は嘘を紡いで、必死にごまかそうとしていた。 お皿の上にお箸とからしのチューブを載せてリビングに運ぼうとしたそのとき、リビングに入ろうとするわたしと、出ようとする彼がぶつかりそうになった。 「あ!」 「帰るよ。やっぱ邪魔だろうしな」 彼はそう言うとわたしに背中を向けた。 とっさに彼の腕をつかんだ。邪魔なんかじゃない。彼にいてほしかった。 わたしが何かを言う前に彼は 「――と思ったが、喰う。うん、腹が減って死にそうだ。今すぐ何か腹に入れないと、家まで保ちそうにないな」 彼はリビングに戻り、わたしと彼と朝倉さんで食卓を囲んだ。 ◇◇◇◇ 食事中は、なぜか彼の元気がなく、朝倉さんの声しか聞こえなかった。 食事が終わり、朝倉さんが腰を上げ 「長門さん、余った分は別の入れ物に移してから冷凍しておいて。鍋は明日取りに来るから、それまでにね」 彼も続くように 「それじゃあな」 といい部屋から出て行った。 そして、彼は戸口で、小さな声で囁いた。 「明日も部室に行っていいか? 放課後さ、ここんとこ他に行くところがないんだよ」 その言葉を聞いてわたしは安堵した。 そして2人が帰って、間もなく――ちょうど鍋に残ったおでんを器に詰め替えているとき――再び訪問者を知らせるベルがなった。朝倉さんだった。 「ちょっと、忘れ物をしちゃって。入っていい」 朝倉さんが忘れ物をすることはほとんどなく、それはめずらしいことだった。 「どうぞ」 「あった。あった。」 朝倉さんはリビングに置いてあったケータイをとり、ポケットにしまうと表情が険しくなった。 「ところで、長門さん。キョン君とはどういう関係なの」 どういう関係かと問われても、同じクラブに所属する知り合いでしかない。わたしは彼に好意を持っているがそれは、わたしが勝手に思っていることなので黙っておく。 「じゃあ、なんでキョン君を家に上げたの」 答えに窮した。朝倉さんはこたつをパンとたたき 「1人暮らしをしている女の子が、男の子を家に上げるってどういうことかわかるわよね」 「そんなつもりは」 「長門さん。あなたにそのつもりがなくても相手は誤解するわ。小学生じゃないんだから、家で遊んで、はいさようならとはならないのよ」 「彼には帰りにわたしから釘を刺しておいたけど、あなたも自分のことは自分で護りなさい」 朝倉さんが彼にどう釘を刺したか気になったが、さすがに聞けなかった。 朝倉さんが帰り1人になった。いつも1人なのだが、賑やかな部屋が急に静かになると寂しさが増す気がした。金魚にえさをやって気を紛らわそうと思ったが、えさの入った袋はほとんど空になっていた。 袋を逆さにして、ビニールにこびりついた欠片をふるい落として、金魚に与えたが、それだけでは足りないらしく、彼らは水面で口をパクパク開けていた。明日、えさを買いに行かないと。そういえば、このえさはどこで買ったんだろう。えさを待つ金魚を眺めるのもなんなので、部屋の隅から原稿用紙を引っ張り出し、文字を紡ぐことにした。 わたしは昨日書いた小説の続きを書き始めた。 ◆◆◆◆ 彼が入部して1週間ほど経ったころ。いつものように昼休みに彼と弁当を食べていたときのことである。 「機関誌を作ろう」 こんにゃくをつまみながら彼は突然何かを思いついたように言った。私も彼も部活に慣れてきた頃だった。もちろん廃部の危機が免れたわけでもない。彼が入っても部として定員割れに替わりはなく廃部の危機は変わりない。そんな危機的な状況下で彼が必死になって考えてくれた打開策が機関誌作りだった。 「定員割れだったとしても、活動実績があれば廃部は免れるかもしれないし、部の宣伝にもなり、新入部員が入ってくるかもしれない」 私は彼の提案を全面的に賛成した。 『本を読まない人が本を手に取るきっかけを作る』機関誌にしよう。という目標を掲げ、機関誌作りが始まった。といっても機関誌作りは彼も私も初めてで何をすればいいのかわからない。昔活動が活発だった時に文芸部が作った機関誌を引っ張り出した。そこには小説の書評や部員の書いた短編小説が掲載されていて、国語の教科書ぐらいの分厚さはあり内容量は多い。これを作った人はさぞかし苦労したに違いない。彼は過去の機関誌を眺め、眉間にしわを寄せている。 「ユキ、小説を書いたことはあるか」 「ない」 本当だ。 「俺も小説は書けないし、書いたところでそんな駄文を載せれば読んだ人が迷惑だ。かと言って書評だけっていうのも寂しいし」 何か妙案はないのだろうか。私も彼も頭を抱えた。 「そうだ。生徒に好きな本は何かアンケートをとってその結果を載せるっていうのはどうだ。 アンケートを集計して、好きな本ベスト30を載せる。そして、ランクインした本の書評を書く。これなら普段、本に興味ない人でも機関誌を手に取るきっかけになると思うんだ」 そうして機関誌作りが始まった。機関誌は北高生が選ぶ好きな本ベスト30と文芸部オススメ本の2部構成となった。私はパソコンに向かいオススメ本の書評を書き、彼はアンケート作りを始めた。機関誌作りが始まって、以前より格段に忙しくなり、本業であるはずの本を読む時間はめっきり減ってしまった。でも、決してつらくはなかった。 それから数日経ったある日。私は一人部室で書評を書いていた。 彼はアンケート用紙を配りに行っている。 バン ドアが勢いよく開く。 私は彼が帰ってきたのだと疑いもしなかったのだが、そこには女の子が立っていた。 彼女は部屋を見渡し 「あなたしかいないの? あなたが部長? 」 「そうだけど」 「私、ナツ。1年よ。ここに仮入部するから」 いきなりそう言うので、なぜ? と思ってしまったけど、今でも部員は足りない。大歓迎だ。 「そう。私はユキ。あなたと同級生。よろしく」 「ところで、文芸部って何するところなの」 「え?」 思わず声に出してしまうほどの問題発言を彼女は言った。ここは笑うところなのか? 私が困り果てていると彼が戻っていた。 「あら、あなたも部員? 意外ね。今日から仮入部することにしたから。よろしく」 会話から彼と彼女が顔見知りだとわかった。 「なんで文芸部に仮入部しようと思ったんだ」 「あんたが、アンケートを配っているのを見たから。文芸部は実質休部状態って聞いていたからノーマークだったのよ」 「言っておくが、ここはまじめなクラブだ。本に興味がないならいても楽しくない。冷やかしなら帰ってくれ。」 彼の強い口調に少し驚く。 「冷やかしじゃないわよ。それに楽しいか楽しくないかどうかは自分で判断するわ」 「そうかい」 そう言うと、彼は彼女を相手にせず、集めてきたアンケートを机に置き集計を取り始めた。 彼女は何もすることがなく呆然と立っている。私は、パソコンから一旦離れ、彼女に本を渡した。 「私が好きな本。読んでみて? 」 「ありがとう」 彼女は本を開けたが5分と経たないうちに閉じた。 「私あんまり本読むの好きじゃないの。ここにいても何もなさそうだから帰るわ」 それは退部宣言のように聞こえた。せっかく興味をもってくれたのに。 「ナツ……さん。」 私は彼女を呼び止める。 「また本を読みたくなったら来て。本は本当にたくさんある。あなたが気に入る本も絶対あるはず。待ってるから」 彼女は何も言わず部屋を出て行き、部室に私と彼の2人が取り残された。 「ユキ。あいつのことは知っていたか」 「ナツさんのこと? 今日来るまでは知らなかった」 「俺は同じクラスだからよく知っているんだが、あいつはこの高校に入学して間もない時期にすべてのクラブに仮入部して、その日に辞めたそうだ。 それ以外にもいろいろ奇行をしてこの学校じゃちょっとした有名人だ。 今日来たのも冷やかしだ。期待しない方がいい」 「そう」 私はせっかく来てくれた新入生がただの冷やかしだと分かり落胆した。 しかし、ナツはそんな落胆をみごとに裏切ってくれた。 「おっはよう」 部室にナツの明朗な声がこだました。 「おはよう」 私は微笑む。私はその時、書評を書き、彼はアンケートの集計をしていた。ナツには彼と一緒に集計の手伝いをしてもらった。入部早々アンケート集計の手伝いをさせるのもなんだが、本に興味がない彼女に本を読めというのはもっと酷か。って本が好きじゃないのに何で文芸部に入ろうとするのがおかしいのだが。 この日からナツは毎日、部室に来るようになった。すべてのクラブに仮入部して、どこのクラブにも属さなかった彼女が、文芸部を選んだ理由は何なんだろうか? この時の私にはまだ、その理由はわからなかった。 それから数日後の放課後、部室に行くと2人の声が聞こえてくる。 「あほ! もっと右に寄せるのよ」 「おまえの言ってる通りにしてるだろ」 「とにかく私に従いなさい」 はじめはナツの破天荒な発言にも驚かされたが、いまでは彼女の元気な声が心地よい。彼とナツは表紙作りをしていた。書評はすべて私が書くことになり、彼はアンケートと印刷、製本を担当することになった。ナツは彼の補佐をしている。私も早く書評を書かないと。 文芸部にナツが来てから、部室も少しずつ変わっていた。殺風景だった部室に物が増えていった。冷蔵庫に、食器棚に、コンロまで。文芸部は火気厳禁なのだが…… 昼休みの光景も一変した。彼はナツと学食へ行くようになり、私は1人で弁当を食べることが多くなった。 ナツが来てから2週間ほど経っただろうか。 書評を書くことが日課になり、部室に来て本ではなくパソコンの電源を押すことに何の違和感も持たなくなった頃、その仕事は終わってしまった。書評を書くことはなかなか骨の折れる作業で、この重荷から逃れることを願っていた。しかし、習慣というものは恐ろしいもので、いざ終わってみると手持ちぶさたになってしまった。 ナツと彼は印刷室にこもっているため部室には私1人しかいない。書評を書くというわたしの役目は終わり。あとは彼とナツに任せよう。私の本職が本を読むことであることを思い出し、話の佳境で読むのを中断していた本を開け、久しぶりの読書を堪能しようと思った。久しぶりの読書。楽しいはずだ。 しかし、私しかいない部室は孤独を感じさせた。私は寂しかった。 ◆◆◆◆ 小説を書くのは難しい。何度も壁にぶつかり頭を悩ます。自分の発想力、表現力のなさに幾度愕然としたことか。しかし、実を言うとここまでは割と簡単に書けたのだ。でも、ここから先、とりわけ結末がうまく書けなかった。わたしの頭の中では構成はすべてできていた。でも、なぜかペンが重たかった。 第4章につづく
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4730.html
第3章 2日目 今日から短縮授業。もう冬休みは近い。どうりで寒いはずだ。さらに追い討ちをかけるように眠い。昨日遅くまで小説づくりをしていたせいだ。寒さと眠さに打ち勝ち、やっとのことで布団から脱したころには、目覚ましをセットした時刻をだいぶ過ぎており、慌てて支度をして家を飛び出した。睡眠不足の体には寒さと果てしなく続く坂は堪える。 わたしは小走りで坂を登りながら昨日の不思議な出来事について考えようとした。わたしが思いを寄せる人が、急に部室にやってきた。ここまではわたしの書いている小説そのものだ。しかし、小説では泣き崩れるわたしを心配した彼が声をかけるのに対し、現実では何のきっかけもなくいきなり彼が部屋に飛び込んできて、わたしのことを『宇宙人』と言う。事実は小説より奇なりというがいくらなんでも、奇怪すぎるだろう。もしかしたら、昨日の出来事はわたしが部室で居眠りをしていたときに見た夢なのかもしれない。そう思えてくる。 わたしが寒さと眠さと戦いながら坂を登っていると、背後から元気な声が聞こえた。 「おはよう」 朝倉さんだった。彼女はわたしと同じマンションに住む同級生でわたしの唯一の友人だ。 「長門さん。今日も眠そうな顔して。どうせ、夜遅くまで小説書いてたんでしょう」 彼女は驚くほど、勘が鋭く、彼女には隠しごとはできそうもない。小説を書いていることも彼女だけは知っている。 「ところで」 朝倉さんは急に笑顔になる。 「昨日、彼に会ったでしょ」 これにはたまげた。なぜ、そんなことまで知っているのか。部室に盗聴器でもあるのではないか。 「うしろ」 彼女が指さした後方に彼がいた。 「いま、追い抜いてきたんだけど彼、入部届けを持っていたの。あれ文芸部のでしょ」 よくもまあ、そんなところまで観察できるものだと関心してしまう。 「彼、文芸部に入るつもりなの」 「わからない。彼が昨日いきなり訪ねてきた」 「彼の様子はおかしくなかった」 「……どうして」 「昨日、様子が変だったの。わたしを見るなり、『どうしてお前がここにいる。それはお前の机じゃない。ハルヒのだ』って言うのよ。ハルヒって子が誰だか知らないけど、とにかく様子がおかしかったわ。昨日まで特に変わった様子はなかったんだけど……何か変なこと言ったりしなかった?」 「特に変わったことはなかった」 別に彼を擁護しようと思ったわけではないが、何か特別な事情を抱えているだけで気が変になっているわけでもないように思えたのでそう答えることにした。 「とにかく、彼には注意した方がいいわ。文芸部に来たのも何か関係あるかもしれないし」 やはり彼が部室に来たのは、文芸部に入部しようと思ったから……ではなく別の理由があるのだろうか。もしそうなら、彼はもう来ないかもしれない。不安がよぎった。 授業が終わり、部室に向かう。いつもより歩速が速いのは気のせいではないだろう。 彼は来てくれるだろうか。わたしは部室で1人待ち続けた。 コンコン ノックの音が沈黙を破る。 「どうぞ」 扉がゆっくり開く。彼だった。 「また来てよかったか」 でも、彼がどんな顔をしていたかはわからない。恥ずかしくて、顔を上げることができず、視線は本に向けていたからだ。彼は部室に入り、鞄を部屋の隅に立てかけて、本棚を眺めていた。 沈黙。 わたしは何かしゃべらないといけないと思ったが何を言っていいかわからず、黙って本を読んでいた。本の内容なんて頭に入らなかったのだが。 沈黙を破ったのは彼だった。 「全部、お前の本か?」 「前から置いてあったのもある」 わたしは持っていた本の表紙を見せて、 「これは借りたもの。市立図書館から」 必死に会話をつないだ……つもりだったが、ここで会話が途切れてしまった。 再び気まずい沈黙が続く。 何か話しかけなければと思うが、こういうときどういう話をすればいいのだろうか。わたしがおろおろしているとまたしても彼が沈黙を破ってくれた。 「小説、自分で書いたりしないのか?」 唐突な質問に、もしや彼はわたしが小説を書いていることを知っているのではないかと思い冷や汗をかいたが、冷静に考えてみれば彼が知っているはずないか。 「読むだけ」 また沈黙。 ここで、書いているとでも言えば、会話が続いたのかもしれないが、それはそれで恥ずかしいし、まだ会話が途切れる方がましか。 彼はわたしとの会話をやめて、本棚に目を移していた。せっかく来てくれたのに……このまま、帰ってしまえばもう会えないかもしれない。自分の話術のなさに絶望している場合ではなく、必死に話題を探した。彼は読みたい本を探しているのか、本棚から本を取り出しては本をパラパラとめくり、再び本を戻すということを繰り返していた。彼はどんな本が好きなのだろうか。 彼はある本を手にし、念入りに見ていた。それは海外SF大長編で、わたしが本好きになったきっかけを作った本でもあった。 彼が本をめくっていると ヒラリ 1枚の栞が落ちた。彼はそれを拾い上げ、凝視している。 彼はわたしの元に来て、その栞を見せた。 「これを書いたのはお前か?」 そこには 『プログラム起動条件・鍵をそろえよ。最終期限・二日後』 と書かれている。しかもわたしの字で。 わたしは字に特徴がある。無機質な字とよく言われる。 そこに書かれている字はそんなわたしの字の特徴をしっかり捉えていた。 しかし、わたしがこんな文を書いた記憶はない。 「わたしの字に似ている。でも……知らない。書いた覚えがない」 「……そうか。そうだろうな。いや、いいんだ。知ってたらこっちが困ってたところだ。 ちょっと気になることがあってな。いーや、こっちの話で……」 こっちの話? やはり様子がおかしい。彼はこの部屋で何がを探している? そして、その手がかりがあの栞なのだろうか。 「今日は帰るよ」 突然の宣言だった。 「そう」 ダメだ。このまま帰ってしまえば2度と話すこともないかもしれない。わたしも本を鞄にしまい込み立ち上がり、一緒に帰ろう……その台詞が言えない。わたしはただ彼が帰ろうとする姿を見るだけだった。そんなわたしに気づき彼はわたしに声をかけてくれた。 「なあ、長門」 「なに?」 「お前、一人暮らしだっけ」 なぜ、知っているのだろうか。朝倉さんがわたしのことをいろいろしゃべっているのだろうか。 「……そう。来る?」 「どこに?」 「わたしの家」 今日一番会話が続いた。なんて、言っている場合じゃない。大胆なことを言ってしまった。 言ってしまったあと、しまったと思った。 「……いいのか?」 「いい」 そうして、彼と一緒に下校し、家に行くことになった。 彼と肩を並べ、坂を下った。緊張のあまり何も話すことができないままマンションに着いた。家に着き、彼をリビングに案内し、わたしはお茶を煎れる準備をした。わたしがお茶を持ってリビングに戻ると、彼は畳の部屋を指しこう言った。 「この部屋、見せてもらっていいか?」 特に断る理由もなかったのでわたしは承諾することにした。 「どうぞ」 「ちょっと失礼する」 この部屋はわたしの寝室だが、布団は押し入れにあるので今は畳しかない。彼は部屋に何もないことを確認するとすぐに襖を閉じ、わたしに両手を開いて見せた。彼の時折見せるおかしな行動。それが何なのかわたしにはわからない。考えたところで解りそうもないし、彼に聞けばまた宇宙人やらアンドロイドやらの話を聞かされるような気がして聞くのを躊躇した。 ただ、これだけは確認しておきたい。彼が図書館でのことを覚えているのか。もし彼があのことを覚えていないのならば、彼はわたしのことを何も知らず、単にわたしを宇宙人と勘違いして文芸部に来たことになる。わたしは絞り出すように言った。 「わたしはあなたに会ったことがある。学校外で。覚えてる? 図書館のこと。あなたがカードを作ってくれた」 「お前、」 彼は目を見開いた。彼の反応でわかった。彼は知っている。わたしは嬉しくなった。 「五月半ば頃。わたしが北口駅近くの市立図書館で……」 わたしは必死になって図書館での出来事を詳しく話した。 「それが、あなただった」 言い終えた後、わたしは後悔した。彼は何も言わなかったからだ。わたしも何も言えなくなった。 沈黙が続いた。 ピン、ポーン 沈黙を破る突然のインターホン。誰だろう。 わたしは立ち上がり呼び鈴に出た。 「長門さん。朝倉です」 わたしは動転する。 「おでん作ったんだけど作り過ぎちゃったから一緒に食べようと思って」 「いまは……」 「どうかしたの?」 「いや、その……」 「忙しいんだったら、長門さんの分だけ置いていくわ」 まずい。中には彼がいる。玄関から部屋の中の様子がわからないようにリビングに続く扉をしめれば……ダメだ。玄関には彼の靴が置いてある。靴を下駄箱に隠して……彼が物音を立ててればバレてしまう。とにかく扉を開けるわけには…… 「とにかく開けて」 そのまま追い返すわけにもいかないし、変に隠して誤解を生むともっとおおごとになるとも思い、無条件降伏をしてしまった。 リビングに入ってきた朝倉さんは彼を見て 「あら? なぜ、あなたがここにいるの? 不思議ね。長門さんが男の子を連れてくるなんて。まさか、ムリヤリ押しかけたんじゃないでしょうね」 「お前こそ、なんだってここにまで登場するんだ」 「わたしはボランティアみたいなものよ。あなたがいることのほうが意外だな」 朝倉さんは大きな鍋をコタツの上に置いた。 「作り過ぎちゃったかしら。ちょっと熱くて重かったわ」 なかなか扉を開けないわたしに対する嫌みにしか聞こえなかった。 わたしは箸の用意をするという名目で、キッチンに避難した。朝倉さんは彼と話していた。 わたしは朝倉さんは彼の会話をキッチンで聞きながら食事の準備をした。 「朝倉が作ったのか?」 「そうよ。大量に作ってもそう手間のかからない物は、こうして時々長門さんにも差し入れるの。放っておくと長門さんはロクな食事をしないから」 「それで? あなたがいる理由を教えてくれない? 気になるものね」 「あー、ええとだ。長門とは帰り道に一緒になって……。そう、俺はいま文芸部に入ろうかどうか悩んでいる。そいつをちょっと相談しながら歩いてたんだ。そうしているうちにこのマンションの近くまで来たからさ、話の続きもあるしで、上がらせてもらった。無理にじゃないぜ」 彼は嘘を紡いで、必死にごまかそうとしていた。 お皿の上にお箸とからしのチューブを載せてリビングに運ぼうとしたそのとき、リビングに入ろうとするわたしと、出ようとする彼がぶつかりそうになった。 「あ!」 「帰るよ。やっぱ邪魔だろうしな」 彼はそう言うとわたしに背中を向けた。 とっさに彼の腕をつかんだ。邪魔なんかじゃない。彼にいてほしかった。 わたしが何かを言う前に彼は 「――と思ったが、喰う。うん、腹が減って死にそうだ。今すぐ何か腹に入れないと、家まで保ちそうにないな」 彼はリビングに戻り、わたしと彼と朝倉さんで食卓を囲んだ。 ◇◇◇◇ 食事中は、なぜか彼の元気がなく、朝倉さんの声しか聞こえなかった。 食事が終わり、朝倉さんが腰を上げ 「長門さん、余った分は別の入れ物に移してから冷凍しておいて。鍋は明日取りに来るから、それまでにね」 彼も続くように 「それじゃあな」 といい部屋から出て行った。 そして、彼は戸口で、小さな声で囁いた。 「明日も部室に行っていいか? 放課後さ、ここんとこ他に行くところがないんだよ」 その言葉を聞いてわたしは安堵した。 そして2人が帰って、間もなく――ちょうど鍋に残ったおでんを器に詰め替えているとき――再び訪問者を知らせるベルがなった。朝倉さんだった。 「ちょっと、忘れ物をしちゃって。入っていい」 朝倉さんが忘れ物をすることはほとんどなく、それはめずらしいことだった。 「どうぞ」 「あった。あった。」 朝倉さんはリビングに置いてあったケータイをとり、ポケットにしまうと表情が険しくなった。 「ところで、長門さん。キョン君とはどういう関係なの」 どういう関係かと問われても、同じクラブに所属する知り合いでしかない。わたしは彼に好意を持っているがそれは、わたしが勝手に思っていることなので黙っておく。 「じゃあ、なんでキョン君を家に上げたの」 答えに窮した。朝倉さんはこたつをパンとたたき 「1人暮らしをしている女の子が、男の子を家に上げるってどういうことかわかるわよね」 「そんなつもりは」 「長門さん。あなたにそのつもりがなくても相手は誤解するわ。小学生じゃないんだから、家で遊んで、はいさようならとはならないのよ」 「彼には帰りにわたしから釘を刺しておいたけど、あなたも自分のことは自分で護りなさい」 朝倉さんが彼にどう釘を刺したか気になったが、さすがに聞けなかった。 朝倉さんが帰り1人になった。いつも1人なのだが、賑やかな部屋が急に静かになると寂しさが増す気がした。金魚にえさをやって気を紛らわそうと思ったが、えさの入った袋はほとんど空になっていた。 袋を逆さにして、ビニールにこびりついた欠片をふるい落として、金魚に与えたが、それだけでは足りないらしく、彼らは水面で口をパクパク開けていた。明日、えさを買いに行かないと。そういえば、このえさはどこで買ったんだろう。えさを待つ金魚を眺めるのもなんなので、部屋の隅から原稿用紙を引っ張り出し、文字を紡ぐことにした。 わたしは昨日書いた小説の続きを書き始めた。 ◆◆◆◆ 彼が入部して1週間ほど経ったころ。いつものように昼休みに彼と弁当を食べていたときのことである。 「機関誌を作ろう」 こんにゃくをつまみながら彼は突然何かを思いついたように言った。私も彼も部活に慣れてきた頃だった。もちろん廃部の危機が免れたわけでもない。彼が入っても部として定員割れに替わりはなく廃部の危機は変わりない。そんな危機的な状況下で彼が必死になって考えてくれた打開策が機関誌作りだった。 「定員割れだったとしても、活動実績があれば廃部は免れるかもしれないし、部の宣伝にもなり、新入部員が入ってくるかもしれない」 私は彼の提案を全面的に賛成した。 『本を読まない人が本を手に取るきっかけを作る』機関誌にしよう。という目標を掲げ、機関誌作りが始まった。といっても機関誌作りは彼も私も初めてで何をすればいいのかわからない。昔活動が活発だった時に文芸部が作った機関誌を引っ張り出した。そこには小説の書評や部員の書いた短編小説が掲載されていて、国語の教科書ぐらいの分厚さはあり内容量は多い。これを作った人はさぞかし苦労したに違いない。彼は過去の機関誌を眺め、眉間にしわを寄せている。 「ユキ、小説を書いたことはあるか」 「ない」 本当だ。 「俺も小説は書けないし、書いたところでそんな駄文を載せれば読んだ人が迷惑だ。かと言って書評だけっていうのも寂しいし」 何か妙案はないのだろうか。私も彼も頭を抱えた。 「そうだ。生徒に好きな本は何かアンケートをとってその結果を載せるっていうのはどうだ。 アンケートを集計して、好きな本ベスト30を載せる。そして、ランクインした本の書評を書く。これなら普段、本に興味ない人でも機関誌を手に取るきっかけになると思うんだ」 そうして機関誌作りが始まった。機関誌は北高生が選ぶ好きな本ベスト30と文芸部オススメ本の2部構成となった。私はパソコンに向かいオススメ本の書評を書き、彼はアンケート作りを始めた。機関誌作りが始まって、以前より格段に忙しくなり、本業であるはずの本を読む時間はめっきり減ってしまった。でも、決してつらくはなかった。 それから数日経ったある日。私は一人部室で書評を書いていた。 彼はアンケート用紙を配りに行っている。 バン ドアが勢いよく開く。 私は彼が帰ってきたのだと疑いもしなかったのだが、そこには女の子が立っていた。 彼女は部屋を見渡し 「あなたしかいないの? あなたが部長? 」 「そうだけど」 「私、ナツ。1年よ。ここに仮入部するから」 いきなりそう言うので、なぜ? と思ってしまったけど、今でも部員は足りない。大歓迎だ。 「そう。私はユキ。あなたと同級生。よろしく」 「ところで、文芸部って何するところなの」 「え?」 思わず声に出してしまうほどの問題発言を彼女は言った。ここは笑うところなのか? 私が困り果てていると彼が戻っていた。 「あら、あなたも部員? 意外ね。今日から仮入部することにしたから。よろしく」 会話から彼と彼女が顔見知りだとわかった。 「なんで文芸部に仮入部しようと思ったんだ」 「あんたが、アンケートを配っているのを見たから。文芸部は実質休部状態って聞いていたからノーマークだったのよ」 「言っておくが、ここはまじめなクラブだ。本に興味がないならいても楽しくない。冷やかしなら帰ってくれ。」 彼の強い口調に少し驚く。 「冷やかしじゃないわよ。それに楽しいか楽しくないかどうかは自分で判断するわ」 「そうかい」 そう言うと、彼は彼女を相手にせず、集めてきたアンケートを机に置き集計を取り始めた。 彼女は何もすることがなく呆然と立っている。私は、パソコンから一旦離れ、彼女に本を渡した。 「私が好きな本。読んでみて? 」 「ありがとう」 彼女は本を開けたが5分と経たないうちに閉じた。 「私あんまり本読むの好きじゃないの。ここにいても何もなさそうだから帰るわ」 それは退部宣言のように聞こえた。せっかく興味をもってくれたのに。 「ナツ……さん。」 私は彼女を呼び止める。 「また本を読みたくなったら来て。本は本当にたくさんある。あなたが気に入る本も絶対あるはず。待ってるから」 彼女は何も言わず部屋を出て行き、部室に私と彼の2人が取り残された。 「ユキ。あいつのことは知っていたか」 「ナツさんのこと? 今日来るまでは知らなかった」 「俺は同じクラスだからよく知っているんだが、あいつはこの高校に入学して間もない時期にすべてのクラブに仮入部して、その日に辞めたそうだ。 それ以外にもいろいろ奇行をしてこの学校じゃちょっとした有名人だ。 今日来たのも冷やかしだ。期待しない方がいい」 「そう」 私はせっかく来てくれた新入生がただの冷やかしだと分かり落胆した。 しかし、ナツはそんな落胆をみごとに裏切ってくれた。 「おっはよう」 部室にナツの明朗な声がこだました。 「おはよう」 私は微笑む。私はその時、書評を書き、彼はアンケートの集計をしていた。ナツには彼と一緒に集計の手伝いをしてもらった。入部早々アンケート集計の手伝いをさせるのもなんだが、本に興味がない彼女に本を読めというのはもっと酷か。って本が好きじゃないのに何で文芸部に入ろうとするのがおかしいのだが。 この日からナツは毎日、部室に来るようになった。すべてのクラブに仮入部して、どこのクラブにも属さなかった彼女が、文芸部を選んだ理由は何なんだろうか? この時の私にはまだ、その理由はわからなかった。 それから数日後の放課後、部室に行くと2人の声が聞こえてくる。 「あほ! もっと右に寄せるのよ」 「おまえの言ってる通りにしてるだろ」 「とにかく私に従いなさい」 はじめはナツの破天荒な発言にも驚かされたが、いまでは彼女の元気な声が心地よい。彼とナツは表紙作りをしていた。書評はすべて私が書くことになり、彼はアンケートと印刷、製本を担当することになった。ナツは彼の補佐をしている。私も早く書評を書かないと。 文芸部にナツが来てから、部室も少しずつ変わっていた。殺風景だった部室に物が増えていった。冷蔵庫に、食器棚に、コンロまで。文芸部は火気厳禁なのだが…… 昼休みの光景も一変した。彼はナツと学食へ行くようになり、私は1人で弁当を食べることが多くなった。 ナツが来てから2週間ほど経っただろうか。 書評を書くことが日課になり、部室に来て本ではなくパソコンの電源を押すことに何の違和感も持たなくなった頃、その仕事は終わってしまった。書評を書くことはなかなか骨の折れる作業で、この重荷から逃れることを願っていた。しかし、習慣というものは恐ろしいもので、いざ終わってみると手持ちぶさたになってしまった。 ナツと彼は印刷室にこもっているため部室には私1人しかいない。書評を書くというわたしの役目は終わり。あとは彼とナツに任せよう。私の本職が本を読むことであることを思い出し、話の佳境で読むのを中断していた本を開け、久しぶりの読書を堪能しようと思った。久しぶりの読書。楽しいはずだ。 しかし、私しかいない部室は孤独を感じさせた。私は寂しかった。 ◆◆◆◆ 小説を書くのは難しい。何度も壁にぶつかり頭を悩ます。自分の発想力、表現力のなさに幾度愕然としたことか。しかし、実を言うとここまでは割と簡単に書けたのだ。でも、ここから先、とりわけ結末がうまく書けなかった。わたしの頭の中では構成はすべてできていた。でも、なぜかペンが重たかった。 第4章につづく
https://w.atwiki.jp/shinyaku_b/pages/14.html
200 :まさよ編 :2006/02/10(金) 02 59 17.46 ID fpd7DsmP0 ? 第4幕さようなら雄一郎 「雄一郎のこんなに大きくなちゃってぇ・・・」 まさよが微笑を浮かべると俺の物を更に刺激する。 「早く出してぇ・・・・・残さないからぁ」 まさよは普段見せないような表情を見せる。その時だった。 「ユウちゃん・・・こんなの見せられたら我慢できないわぁ」 「バ、いや姉ちゃん」 「いいよねぇ・・・もういいよねぇ・・・・私は18歳なんだもん」 そういうと姉ちゃんは俺の唇を奪った。 「まさよちゃんもキスしよ・・・・」 「いいよおねえちゃん・・・・・」 俺の真上で女同士がキスをする。とても濃厚な・・・・・ 腹の上に二人の唾液が落ちてくる。姉ちゃんは右腕を伸ばしてまさよの大事な部分を軽く撫でた。 まさよは少し困った顔をする。 「うふ、まだ慣れてないんだぁ」 「そんな・・・に・・・・指を入れないでぇ・・・・おねえちゃぁん、だめぇ・・・」 「まさよちゃん、私のも触って・・・・」 まさよの手を掴むと姉ちゃんは自分のに手を入れさせる。 「んあ!忘れてた・・・・処女膜まで戻ってるんだ、じゃあもっと優しく・・・ユウちゃんもみていてね」 「お姉ちゃん・・・もっかいキスしてぇ」 「もぉあまえんぼさん」 つづく 364 :まさよ編 :2006/02/10(金) 23 07 56.46 ID fpd7DsmP0 ? ふたりの唾液が混ざり合う音が俺を刺激する。 「ふふふ・・・・ユウちゃんうらやましかったかな?」 「お姉ちゃんだって女の子って気持ちよさが男より違うもん」 俺は少しその快感を味わってみたくなった。 「あーユウちゃん今女の子になってみたいって思ったわねー」 「そうだよね・・・・こんなにきもちいいんだもん・・・・ああ、お姉ちゃんまだぁ」 370 :まさよ編 :2006/02/11(土) 00 01 06.14 ID 4z0D+iw+0 ? 「だぁめぇ、ユウちゃんがさびしがってるじゃないの」 「そんなぁ・・・雄一郎も女の子にしちゃおうよ」 「あ、そうね。それらな3人で気持ちいいかぁ、じゃあユウちゃんごめんね」 俺の腕に激痛が走る。姉ちゃんは新薬を隠し持っていた。 「うぁああああ!」 血液が沸騰する感覚に襲われる。 その時、まさよが股間から俺のものを引きちぎった。 「ほぉらお世話になったものが取れちゃったよぉ♪大丈夫もう子宮の形成が始まった。あ、乳首も変化してきてる」 「うあぁぁあぁあっさあ、やめてくれー!!」 375 :まさよ編 :2006/02/11(土) 00 16 53.81 ID 4z0D+iw+0 ? カバ! 「何、もう昼だよ!いいごみぶんだよねぇ~」 僕は汗びっしょりになって起きる雄一郎に少々嫌味をぶつけてやった。 「うるせぇ!よくも引きちぎってくれたな!」 「はぁ~何言ってんの?」 意味の分からない事を言うと雄一郎は部屋を出て行く。 「女の子にされる夢でもみたか?まぁいいやお昼の用意だ!」 掃除に適当なところで区切りをつけると僕はお昼の用意を始める事にする。 ここに来てはや2ヶ月、この身体にも精神的にもコントロールが聞くようになってきた。 雄一郎も代わった。2学期から転校して学校にも通うらしい、ごはんも一緒に食べるようになった。 全てが順風満帆だ。後は・・・・雄一郎とSEXすることを除いては・・・ 「ごはんだよー」 僕の声で雄一郎が降りてきた。 「またそうめんか?」 「お中元のがたくさんあるの、しかたないじゃん」 昼のニュースを見ながら二人でそうめんをすする。 すると興味深いニュースが流れていた。 379 :まさよ編 :2006/02/11(土) 00 44 17.57 ID 4z0D+iw+0 ? 「次のニュースです。ホームレス保護法に使用されている女体化新薬を高齢者にも適用できる事となり、全国で初めて茨城県の老人ホームで今日投薬が行なわれました。 投薬を行なったのは茨城県の養護老人ホーム長寿園の希望者男女15人で、関係者が見守る中次々と美少女化していきました」 可愛い姿の女の子達が老人ホームを後にする様子が映し出される。 「投薬を受けたグループはこの後近くの病院で検査、人格安定措置を受けた後、区役所に自ら出向いて戸籍の変更しました。グループの一人は取材に対し、 全てが一新されました。新しい自分を見つけたようで孫娘と一緒にこの後秋葉原のメイド喫茶でアルバイトしますと元気よく答えてくれました」 アナウンサーは紙をめくると次ぎのニュースを読み出す。 「小泉総理大臣は女体化新薬を高齢者にも投薬可能する事で大幅な年金の削減と少子化問題解決に見切りがついたと発表しました。」 内容を淡々と読むアナウンサーをジッと見つめる。 「また自民党の最年長議員猪田太郎議員76歳も自ら女体化新薬を投薬し今日取材に応じました」 VTRにあどけない少女が写る。 「14歳になってしまいましたぁ。ちょっと薬利きすぎですよね、これからも頑張りますよ」 ニッコリ笑う少女に僕は少々政治の不安を抱いた。 385 :まさよ編 :2006/02/11(土) 00 57 27.09 ID 4z0D+iw+0 ? 「今入って来たニュースです。今日未明東京都世田谷区のコンビニ刃物と拳銃を持った男が乱入し レジにあった現金20万円をもって現在も逃走中です」 その後映し出された防犯カメラの映像に僕は愕然とした。組時代の弟分栢山誠治(かやませいじ)だった。 思い出される過去の記憶、組の抗争時僕は彼を捨てて逃げた記憶。 本当に慕っていてくれたのに・・・・昔の記憶が少女の心をズキズキと痛ませる。 「どうしたんだよ?」 雄一郎は心配そうに見ている。 「な、なんでもないよ。ほらぁもっと食べなさい、いっぱい茹でたんだから」 390 :まさよ編 :2006/02/11(土) 01 18 13.86 ID 4z0D+iw+0 ? 雄一郎が二階に戻ると僕は少し座り込む事にした。 やはり昔の記憶は僕を苦しめるのか・・・・本当の女の子にさせてはくれないの? 「いたいよぉ・・・心がいたよぉ・・・」 おそらく罪悪感を濃くされているのであろう、普通のホームレスの価値観を消すために・・・ そして記憶とのバランスが崩れ言い表せないような罪悪感が心の痛みとなって襲う。 『少し表へ出よう』 僕はフラフラと表に出て行く、少し風に当たればましになると思った。 392 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/11(土) 01 33 58.13 ID 4z0D+iw+0 ? 初夏の風が僕の頬に当たり慰めてくれるように撫でてくれる。 僕はもう工藤正義じゃない、僕は工藤まさよ、幸せなこの家の居候・・・・ 深呼吸を何回もしてそう言い聞かせる。そうしているうちに少し気分も晴れてきた。 「よぉーし!帰ってお買い物いこ!」 僕は玄関に手をかけた。その時だった。 「組長は即死だったよな・・・・」 僕の身体を電流が流れる。栢山が物陰からユラリと現れた。 「どちらさまでしょうか?」 平然を装うかのように僕は笑顔で振り返る。 「あんたがよく知ってる栢山ですよ」 「・・・・・・」 ポケットから銃が見えているのを僕は確認した。 「別の場所で話しましょう・・・・」 「いいだろう」 396 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/11(土) 01 55 18.84 ID 4z0D+iw+0 ? 銃を突きつけられながら僕は坂の上にある墓地に向かった、雄一郎と最初に喧嘩した場所。 栢山は用意周到だった、道からは見えない木の枝に僕の両手を縛り付けると足も縛られる。 そして勝ち誇ったような目で僕を見下すと僕の顎を片手でつまんだ。 「あんたが昔女をこうやって自分の方に向かせてたよな?」 物凄い嫌悪感だった、昔平気でやっていた事が女の子になってやられると嫌なものだった。 「なぜ分かったの?」 「ふはは、そうかいもう女言葉しか離せないのか。まぁいいさ教えてやるよ」 「キンタマウイルスって知ってるか?それに役所のお役人様がかかってお前らの一覧が流失ってねまぁITの怖さだな」 「そう・・・」 僕は小さく呟いた。 「それにしても可愛くなっちゃって!その服やエプロンもご主人様のご趣味か?」 「やめて、そんなんじゃ」 「こんな所まで変えられるのか・・・」 栢山がナイフで僕の服を裂いた。 「ブラジャーまでつけてんのか?兄貴しかもピンクの」 ニヤリと下品な笑いを浮かべるとスカートが裂かれた。 「おうおう上下ピンクでこりゃ同見ても女子高生みたいだなまさよちゃん」 栢山はそういうと僕の胸をブラ越しに鷲掴みしパンティの上から僕の大事な部分を触ってくる。 「へぇ・・・こんな所まで作りこまれてるのか?」 「やめてぇ・・・触らないで」 僕は泣いてしまった、行為の恐怖と自分の過ちに・・・・・ 401 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/11(土) 02 17 06.39 ID 4z0D+iw+0 ? 僕の身体に触りながら耳元で栢山呟いた。 「自分だけ純真無垢な少女になろうとしやがって・・・・でもな記憶があろうとなかろうと お前のその身体に流れているのはどす黒い血なんだよ」 「言わないでぇ・・・・・」 「まぁいいさ。記憶が消されているなら玄関で頭吹っ飛ばして帰ろうかと思ってたんだ。しかし、乙型の障害でもないな。 「ぼ、ぼくは記憶除去すら行なわれていないの」 「そうか、ならいいさ。まぁこの薬を打つことができるんだからな」 栢山はポケットから赤い液体の入った注射器を出す。 「そ、それは女体化新薬・・・・」 僕は驚いた。女体化新薬は政府指定の病院及び指定保管場所に厳重に管理されているはず。 「そうだ、ご名答。ところでこの薬2回打ったらどうなるか知ってるか?」 僕は無言で首を左右に振る。 「男に戻ると思うだろ?違うな遺伝子が暴走して身体が破裂するか急激な若返りで卵子にまで戻るかだ」 「まぁそれを試す前に綺麗になった兄貴の裸を見てやるぜ」 栢山はそういうと僕のブラをナイフで切り落とした。 550 :まさよ編 :2006/02/11(土) 23 17 59.69 ID 4z0D+iw+0 ? 「もう昔にドスで切られた傷も残ってないのかよ・・・」 「もう言わないでぇ・・・・殺すなら殺しなさいよぉ・・・・」 「まだ処女なんだろ?せめて処女ぐらいは奪ってやるよ」 僕のパンティが脱がされると栢山は自分も上着を脱ぐため注射器とナイフを木の根に置く。 そして上半身裸となって僕の身体を舐めるように触り始めた。 「や・・・・」 「そんな声まで出せるようになるなんてな・・・」 「やめろぉぉ!」 僕は驚く。物影から雄一郎が飛び出したかと思うと注射器を拾い上げて栢山の背中につき立てた。 そして薬がゆっくり栢山の体内へ流れ込んでいった。 「ぐあぁあああぁ!小僧、何処に隠れて嫌がったっぁぁ」 「人の家の玄関先に隠れていたのが運のつきだったな!」 雄一郎が少しかっこよく見えた。 「くそぉぉぉ」 「ぐ・・・」 僕のわき腹に激痛が走る。栢山は最後の力を振り絞って一撃を加えたのだ。 「まさよ!」 僕はここで意識を失った。 555 :まさよ編 :2006/02/11(土) 23 46 58.05 ID 4z0D+iw+0 ? 一糸まとわないまさよを木から下ろすと彼女横腹からあふれ出る血液を俺は一生懸命止めようとする。 あの男は横でスライムのようにグニャグニャになりながら女体化を始めている。 何がしかし俺はそんな事も気にせずまさよの傷口を押さえ続けた。 やがて遠くからサイレンの音が聞こえてくる。呼んでおいた警察である。 墓場の前に数十台のパトカーが停車するとすぐに警官隊が突入してきた。 「すぐに救急車だ!犯人確保、こちらも女体化新薬を打たれてる救急車は2台だ!」 辺りは騒然としてきた。 「こ、小僧・・・・俺も爪が甘かったみたいだな・・・・でもなんだそんなの助ける必要があるのか・・・・」 可愛らしい声で栢山と言う男が言い放つ。その姿は13、4歳の少女になりつつあった。 「俺はまさよの過去は知らない!でもこいつは他の人工少女とは違うんだ!こいつは俺の事を本当に思ってくれていたんだ」 「兄貴は・・・・いいご主人様を持っていたんだな・・・」 ニッコリと笑うと栢山は意識を失った。 しばらくすると救急車が入ってくる。救急隊の人間と共に血まみれの洋服で俺は病院に向かった。 557 :まさよ編 :2006/02/12(日) 00 04 32.58 ID g4ZRav0s0 ? まさよは危険な状態だった。出血多量ですぐにでも輸血が必要だった。 しかし、運悪くこの日は首都高速で事故が多発しまさよの血液は不足している。 「ありったけの血液は入れました、しかし・・・まだ・・・」 「そんな・・・先生!まさよを・・・・まさよを助けてくれよ!そうだ、まさよと俺は血液型が一緒なんです」 「貴方一人でもまだ足りませんよ、もし方法があるとするなら・・・・・」 担当医が口を濁す。 「ユウちゃん!」 姉ちゃんが血相を変えてこちらに飛んできた。 「はぁはぁ・・・まさよちゃんは・・・」 俺は暗い表情をすると担当医が俺の代わりに事情を説明してくれる。 「助かる方法はないんですか!?あの子はうちの大切な、大切な家族なんです・・・・」 姉ちゃんは泣き崩れる。 「姉ちゃん・・・・そうだ!先生、方法はあるっていってたよな!?」 「ええ・・・しかし、それは」 「何でもします!まさよを助けてください」 「では、説明しましょう。あなたの体内からほとんどの血を抜きまさよさんに輸血します。そして・・・・」 担当医は辛い表情で核心部を言い放った。 「無論そのままではあなたが・・・ですから女体化新薬をあなたに打つのです」 558 :まさよ編 :2006/02/12(日) 00 15 34.49 ID g4ZRav0s0 ? 「そんな・・・・先生!ユウちゃんはまさよちゃんと!」 姉ちゃんがすぐに反論する。 「ですからこの方法は使いません!しかし助けるならそうするしかありません」 担当医が唇を震わした。 しばらくの沈黙が続く。こうしている間にもまさよの命は消えようとしているのだ。 そして俺は思い出した。バアちゃんが若返った時、肉親を失っ多様な感覚に襲われた俺を助けてくれた事。 本気で俺を思ってくれた人工少女。喧嘩ばかりしたけどあいつは何時も側にいてくれた。 バカなとこもあるけど思ってくれた。 大切なひと・・・・ 俺の心で何かが弾けた。 563 :まさよ編 :2006/02/12(日) 00 30 44.92 ID g4ZRav0s0 ? 「先生・・・・俺やります!」 「ユウちゃん・・・・」 「姉ちゃん、分かってくれるよな。俺はまさよから大事なもの貰いっぱなしだったんだよ 今度は俺の大切なものをあげる番なんだよ」 姉ちゃんは目から涙をいっぱい流して俺にキスをした。 とても甘く優しい髪の香りがした。 「もうあえないんだもん・・・・男の子のユウちゃんには」 「俺ももう婆ちゃんにはあえないだろ?」 「意地悪・・・」 そう言うと俺を俺をクルリとUターンさせ背中を押してくれた。 「時間がありません!輸血準備と同時にあなたの精子摘出保存の容易も行ないます」 「はい、わかりました!」 俺と担当医は長い廊下を走っていく。 「さようなら雄一郎・・・・」 566 :まさよ編 :2006/02/12(日) 00 47 29.05 ID g4ZRav0s0 ? 手術室に入るとまさよは弱い心拍数を打ちながら寝ていた。 「まさよ、待ってろよ・・・・」 俺はまさよの頬に軽くキスする。男としての最後の仕事だ 『まさか正夢になるとはな』 数時間前に見た夢の通りになるとはな・・・・ そう思いながら服を全て脱いで全裸になると担当医と若い看護婦が数人入って来た。 「じゃあ精子の保存作業から始めるから、男としての最後の作業だ」 看護婦に精子摘出の指示を出すと担当医はまさよの方処置に向かった。 568 :まさよ編 :2006/02/12(日) 01 02 29.46 ID g4ZRav0s0 ? 看護婦に刺激されて俺のあそこは凄い勢いで立ち上がっている。 まるでお別れを悟っているかのように。 そして全身に電気がはしるとあそこに掃除機のような吸引機をかぶせられ一気に吸い取られていく。 「ふぁああああ・・」 看護婦は淡々と吸引機の電源を切ると輸血の準備を始めた。 「じゃあ輸血を開始しますね、眠くなって意識がなくなるまでこのボタンを押しておいてください」 左手にボタンを握らされるとそのままの状態で輸血に入る。 ゆっくりと少しづつ俺の血がまさよを満たしていく感覚にひたると俺は寒くとても眠くなっていく。 手足はしびれだしボタンを握るのもやっとになっていった。薄れていく意識とあの赤い薬を持ち出す担当医。 やがてボタンガもてなくなり俺はボタンを離した。 747 :まさよ編 :2006/02/13(月) 00 19 58.53 ID 8YW12AZu0 まるで冷たい深海の中で死んでいく思いがした。 微かに注射針の感触が俺に伝わると思うとその寒さが温もりへと代わっていく。 そして我に返った。 「今、薬を注射した。極端に血が少なかったから先に血を増やしているんだろう・・・後、まさよさんは一命を取り留めたよ」 「そうですか良かった・・・・」 「今度は君の変化が始まる番だ」 暖かさがやがて蒸暑さそして息苦しさに代わってきた。 ムクムク・・・・ 俺の一物が最後の勃起をはじめ、まるで自分の意思ではない射精がが始まる。 バギバギバギ! 両手足の関節が外れ、信じられないほどの激痛が俺を襲うが俺は金縛りに会ったかのように動けない。 血液がマグマのように沸騰をはじめ、身体がドロドロに解けそうなほど柔らかくなる。 中枢神経がやられたのか痛みは感じなくなってきたと思ったら生えていた歯と髪の毛が全て抜け落ち骨格がゼリー状にやわらかくなる。 全ての骨がスライムのようにやわらかくなると勃起し狂ったように射精し続けていた一物が17年の役目を終え千切れ落ちた。 750 :まさよ編 :2006/02/13(月) 00 42 57.58 ID 8YW12AZu0 誰かも分からないほどその容姿をグニャグニャなものに変えていくと変化はゆっくりとなる。 そして未来への変貌が始まるのだ。全身を真っ赤にする位沸騰していた血液が冷え始めると、変化は股間から始まる。 スライム状になった骨が尻の方で男性より少し広く形成が始まると、一物が千切れ落ちた場所に縦すじが入る。 そして卵巣うまれ卵管がのび子宮の形成が始まる。それと同時に中枢神経が回復するのでこのなんともいえない感触が伝わってきた。 756 :まさよ編 :2006/02/13(月) 01 13 21.89 ID 8YW12AZu0 変化はやがて骨全体に及び今までと違う形成を始めると尿道や肛門が形成されそこから老廃物が全てからだの外に出されるのだ。 そしてその骨に合わせ筋肉が巻き付いていくようにしなやかな足が形成されていく。 同時にか細い両手が形成される。 ムクムク 尻が今より大きくなると腰のクビレがそれをより強調する。 顔の輪郭も整いだし女性の歯が生えたかと思うと鼻の形成、パッチリとした目が出来上がる。 膣全体の形成が終わると身体の先端から始まった変化は心臓付近を目指している。 ググッググッ・・・・・ 左右の乳首がピンク色に変わるとまるで風船のように膨らみ始める。 764 :まさよ編 :2006/02/13(月) 01 59 17.64 ID 8YW12AZu0 やがて膨らみが止まると担当医は俺に立つように言った。 髪の毛が湧き水のようにサラサラと湧いてくる。 そして床に付くか付かないかのところで止まった。時計を見るとまだ1時間くらいしか経っていなかった。 「さあ鏡で見てごらん」 一糸纏わない俺の前に大きな鏡が持ってこられる。 「これが・・・あ!」 両手で口を塞ぐ、声が高い澄み切った感じになっている。オッパイもまさよより大きかった。 「これが俺ですか?」 「ああ、見事に女体化しているよ。じゃあ次の生理検査と性格書き込みするから」 「え、でもあれはホームレスだけじゃ?」 「生理検査は女体化全員が対象になっている。後は一応これから女性として生きていくわけだからそれなりの性格や女性の習慣を刷り込むだけだよ」 「そうですか、ところで俺いくつなんですか?」 「おそらくまさよさんと同い年だろう・・・・女体化による若返りは12歳~18歳の何処かの年齢に落ち着くんだ、原因は分からんが」 担当医はそう言うとまさよの病室に行くといって席を外した。後から入っていた看護婦がパンティとTシャツを貸してくれる。 うまれて初めてはくパンティ・・・・俺は少しドキドキしながら脚を通してたくし上げた。 「え!こんなにピッタリするんですか」 思わず看護婦さんに聞いてしまう。 「そうね、女体化した人はまずそういうわね」 看護婦さんは慣れた手つきでベッドの掃除をしながら答える。 そうなのかと思いながらTシャツを着る。 「あっ!」 「どうしたの?」 「乳首ってこんなに敏感なんですか」 真っ赤になりながらたずねると看護婦さんは笑って頷いてくれた。 765 :まさよ編 :2006/02/13(月) 01 59 49.12 ID 8YW12AZu0 「あ、そうそう。これどうする?持って帰る?」 看護婦さんが俺から千切れた一物を鷲掴みで見せてくれた。 「え、でもぉ」 「持って帰るなら勃起状態に戻して剥製にしてもらえるわよ1800円位で箱もついてるから」 一瞬考えたが俺は男だった証にもって変えることにした。 「じゃあお願いします」 「はい、じゃあ明後日にはできるから病室戻ったら宅配便の住所記入しておいてね」 『宅配便でくるのか』 一瞬ゾッとしたがここまで着たら引けるわけも無くお願いした。 「服きた?じゃあ検査室へ行きましょう」 884 :まさよ編 :2006/02/13(月) 23 50 52.42 ID 8YW12AZu0 「ふぁぁあああああ・・・・おなか痛いです」 下腹部がどっしり重くなり股から血が噴出した。 「ぎゃああああああ!」 「大げさね、これが生理よ。これから略一生付き合うのよその痛みも全部含めてね」 「い、一生ですか・・・はぁ・・・」 俺は思わずため息をついてしまった。 「はいじゃあ次これかぶって」 看護婦さんはバイク用フルフェイスヘルメットを僕に被せるとそのまま電源を入れた。 脳が刺激され色々な情報が頭から泉のように湧き出てくる。 「はいOK、大丈夫かな?」 「はい、私は大丈夫です。へ?無意識で私って言ってる」 ちょっと新鮮に聞こえる。でもなんか複雑。 「これだけなんですか?」 「ええ、後はシャワー浴びて身体綺麗にしたら病室に案内するから」 そういうと私はつながっているシャワールームへと案内された。 889 :まさよ編 :2006/02/14(火) 00 22 28.66 ID eQXThC5n0 「吉岡美梅さんですね、まさよさんと雄一郎さん共に無事です」 まさよの集中治療室前で二人の安否を聞かされた美梅は思わず泣いてしまった。 「やだぁ・・・ごめんなさい」 「いえいえ、よい家族を持ってうらやましいですよ」 担当医はニッコリ笑うと握手を求めた。 「いえ、こちらこそ先生ありがとうございます」 「あ、さまよさんの退院は2週間後でしょう」 「え?そんなに早くなんですか」 「ええ、人工少女はそれなりに回復力、免疫力も持っています。まさよさんの場合は乙型ですが身体上の問題はありません」 「そうですかぁ・・・よかった」 美梅は安堵の表情を浮かべるとそのままその場にへたり込んだ。 「だ、大丈夫ですか?」 「ええ、ちょっと安心しちゃって」 892 :まさよ編 :2006/02/14(火) 00 58 58.24 ID eQXThC5n0 シャワーを浴び終わると新しい衣服が並んでいた。 皆病院用の物だがブラとパンティも入っている。 「やっぱつけなきゃだめなのね・・・」 キュ、プチ・・・・ 「こんなに圧迫感あるのね・・・」 新鮮さはあるが擦りこみのおかげで手馴れてブラもつけられた。 そしてパンティをはくがやはりこちらも大事な部分にキュっとフィットしてくる。 「あ・・・・女の子ってこんな事でも感じちゃうんだぁ・・・」 そして鏡に映る女の子になった自分にキュンとしてしまう。女の子と話すのは昔から苦手だった。 だから今の自分にもちょっぴり苦手かもしれない。 「もうないのよね・・・」 パンティの上から秘めた部分をそっと撫でる。 「ん!力の加減勉強しなきゃ、オッパイもこんなに膨らんじゃって」 16歳にしては豊かな胸、前にまさよの触ったけどそれ以上にやわらかさがある。 「あっ・・・・柔らかい、それに気持ちいい・・・」 トロンとした目で耳まで頬を赤く染め自分によっていると後ろの扉が開く。 「ほら、お楽しみは後からにして!浴びたならさっさとこっち来る」 「わわわ!看護婦さん酷いですよぉ」 「こっちは忙しいの、女体の神秘は今夜家で確認しなさい」 そう言うとさっさと服を着せられ膝までのびた髪を束ねてもらって男のときの服を受け取る。 もうブカブカで着れない。 「吉岡さんはまさよさんの集中治療室前にいるから」 姉ちゃん・・・・どんな顔するかな。 少し不安になる。 902 :まさよ編 :2006/02/14(火) 01 53 53.33 ID eQXThC5n0 美梅はガラス越しにまさよを見つめている。 麻酔が効いているのか心拍数も安定し静かに眠っていた。 「まさよちゃんの幸せ者~私からユウちゃんの面影まで奪っちゃうまで愛されてるなんてぇ~」 割り切ったものの未練はある。そしていよいよ対面の時がやってきたのだ。 「吉岡さんお待たせしました。雄一郎君です」 看護婦さんに背中を押され雄一郎は恐る恐る中に入った。 904 :まさよ編 :2006/02/14(火) 02 16 12.14 ID eQXThC5n0 姉ちゃんは俯いたまま動こうとしない。 看護婦さんはスタコラと出て行ってしまう。 気まずい空気が流れた。 「あの・・・・・お姉ちゃん」 勇気を振り絞って出せた唯一の言葉。 「な・・・・な・・・なんて可愛いのぉ~!!!」 ギュウ 姉ちゃんに思いっきり抱きしめられると私の姉ちゃんの胸同士がぷにゅとする。 「あは!私に似て胸おっきい~まさよちゃん悔しがるぞぉ」 「おねえちゃん、やっ、揉まないでまだ慣れて・・・あ!ないんだもん・・・スカートめくらないで!」 「あ!こんなダサいのはかされてる、ダメよ可愛いのにしてくださいって言わなきゃ」 「そ、そんなのわかないもん///」 姉ちゃんは嬉しそうにコートを着ると私の手を引っ張って外に連れ出していった。 「下着買って、カワイ~イお洋服かって、カットにも行くわよ!」 「まってぇ!まだ心の準備が」 908 :まさよ編 :2006/02/14(火) 02 51 52.01 ID eQXThC5n0 僕はうっすらと目を開ける。ざっと並ぶ医療器具にここは天国でも地獄でもないと悟った。 壁にかかる時計は夜の7時を指している。傷口はまだ傷む。 『僕は助かったんだぁ・・・・また皆にあえる・・・シュークリームもお・・・雄一郎にも・・・』 涙が止まらなかった。手を汚し続けたヤクザ。誰も相手にしてくれなかったホームレス。 そして女体化した。失ったものもあるけど受け取ったものはそれ以上だった。 面会謝絶はこの有難さをかみ締めるのに有意義な時間だった。 1週間後・・・・・ 「うん、傷口の塞がりも完璧だ。さすが保護法適用人工少女だね」 「それって喜んでいいのかな?」 担当医は僕の眼を見ずに笑いながら病室を後にした。 「おっは~!まさよちゃんやっと面会ね♪」 「あ、お姉ちゃん。ごめんなさい心配かけて・・・・あの雄一郎が血を分けてくれたんでしょ?」 僕はそこまでしか聞かされていなかった。雄一郎はどこの病室で入院しているのだろう? 「むふふふ・・・・じゃあ紹介しましょう!ニューユウちゃんですって、ほら恥かしがってんじゃないの」 可愛らしい女の子を病室に放り込むとお姉ちゃんは扉を閉めてしまった。 扉越しにため息を漏らす美梅、その手には16歳の雄一郎が通うための女学校パンフがあった。 「あの二人なら大丈夫よね!」 パンフレットを二つ折りにしてジーパンの後ろポケットに入れると美梅の電話がなった。 「はい吉岡です。あら!団さん、アキバ出店の例の店大丈夫ようんうん・・・」 美梅はゆっくりまさよの病室を後にした。 910 :まさよ編 :2006/02/14(火) 03 11 44.25 ID eQXThC5n0 僕は目を疑った、ツインテールの髪に少しボーイッシュな表情。雄一郎・・・ 「やぁ・・・元気なの?」 「うん・・・そっちこそ何可愛くなってるんだよ」 「これしか方法が無かったの・・・・」 「・・・・・ありがとう・・・・」 僕は思われている。自分を犠牲にしてまで雄一郎は乙型の僕を守ってくれたんだ。 「バカ、泣かないでよ」 「うっ・・・・うっ・・・・雄一郎も馬鹿だよぉ・・・・童貞のまま女の子になってぇ・・・ あの時僕を抱いていたら・・・・」 「だまりなさい」 チュ 雄一郎が僕の唇にキスをした。 「ちょっと何やってんの!女の子同士じゃん/////」 「頑張れば女の子同士でも恋愛できるって照明したの」 雄一郎がウインクする。 そして二人で大笑いした。 その後、吉岡雄一郎は吉岡ゆめに解明した。 1年後・・・・・ 「ゆめぇ~起きなさい!きょうはゆめの洗濯当番だよ」 「うるさいな~こっちはなれない女学校で疲れてるんだよぉ!それに生理だし」 「私も生理だけど頑張ってるの!ほら早く・・・・」 こうして今日も変わらない日常が続いてゆく・・・・・ まさよ編 おしまい
https://w.atwiki.jp/vip99tw/pages/32.html
<わからない9大理由> 1.読まない …説明書などを読まない。読む気などさらさらない。 2.調べない …過去スレ、ググるなど最低限の内容も自分で調べようとしない。 3.試さない …めんどくさいなどの理由で実行しない。する気もない。 4.覚えない …人から聞いて、楽して得た答えは身に付かないから、すぐに忘れる。 5.説明できない …何に困っているのか、第三者に正確に伝わる文章が書けない。 6.理解力が足りない …理解力以前の問題で理解しようとしない。 7.人を利用することしか頭にない …甘え根性でその場を乗り切ろうとする。 8.感謝しない …教えてもらって当たり前。事がすんだらさようなら。 9.逆切れする …自分の思うようにならないと逆切れする。
https://w.atwiki.jp/eufonius/pages/63.html
a
https://w.atwiki.jp/bf_4/pages/378.html
ゲーム内解説 使用感・備考など コメント欄 ゲーム内解説 グレネードランチャーをショットガンに変えることが可能。 フレシェット弾が詰められた40mmカートリッジを発射する。 使用感・備考など 前作での40mmバックショットと同じく、単発式の散弾。今作は名称と性能が変わり、遠距離まで届くようになった分 近距離で弾が拡散しにくくなり、より正確にエイムすることが求められる。 こだわりがなければ、装弾数が多く連射も効くM26DARTを使用することがお勧め。 コメント欄 最新順 これ弾薬箱で補充できる速度めっちゃ早いよ。メトロとかロッカーだとかなり強い - 2016-08-25 20 39 48 何でaimつけたら照準なくなるんだよ! - 2016-03-14 02 36 56 ずっと装備するよりも近接戦闘でメインアームが弾切れの時にスイッチさせると割りきって使った方がいい。任務達成の10KILLまでいったらさようなら - 2014-12-31 22 17 58 こんなのでもファントムよりは強いんだよな・・・ - 2014-11-29 17 36 03 これだけ補充が速かったりしないかな? - 2014-11-29 17 26 37 これの使い道教えてー - 2014-09-01 22 19 18 これ難しい。一発勝負すぎる… - 2014-08-18 09 43 27 せめてアンダーマウントADS時に光学スコープ覗けたらなぁー。非常に当て辛い・・・ - 2014-06-23 09 32 24 3GL解除の為に使ったけど意外と強いかも? ちゃんとエイムすれば一撃だしねw でもM26使います、すみませんw - 2014-04-30 20 33 37 ほぼ無音でキルログだけ表示されるのが快感 - 2014-04-12 23 12 05 これは俺のお気に入り 運が良ければマルチキル - 2014-02-06 23 03 43 FB直撃させた方があからさまに強いんだが - 2014-01-03 19 32 43 BF3で言う所のバックショット? - 2013-12-01 02 42 34 なんか変な所にすっ飛んでったり使いにくいなー バックショットより強いことは強いけど信頼性低いね - 2013-11-22 18 13 55 BF3のバックショットの方が強くない? 体感だけどアレは少しばかり遠くても一撃必殺だったけど、これはイマイチ殺しきれない - 2013-12-09 01 17 19 多分照準使うといいかも すっぽ抜けが減る気がする - 2013-12-01 03 28 55